講演情報
[P16-2-5]Crohn病に伴う多発癌の7例
操 佑樹, 中林 瑠美, 新谷 裕美子, 井上 英美, 工代 哲也, 西尾 梨沙, 大城 泰平, 古川 聡美, 岡本 欣也, 山名 哲郎 (JCHO東京山手メディカルセンター大腸・肛門外科)
【はじめに】
炎症性腸疾患(IBD)の中でも潰瘍性大腸炎(UC)の長期経過例ではcolitic cancerと呼ばれる炎症に起因する大腸癌の発生頻度が高く,多発癌の症例もめずらしくない.Crohn病(CD)においても大腸癌や小腸癌の報告は増加しているが,多発癌に関しての報告は僅かである.今回,当院において切除し得たCDを背景とした同時性・異時性多発癌(High grade dysplasiaを含む)の7例を経験したので報告する.
【症例】
症例の性別は男性5例,女性2例.同時性が3例,異時性が4例であった.CDと診断された平均年齢は25.4歳(15-38),癌に対する初回手術時の平均年齢は37.9歳(26-46),CD診断から初回手術までの平均年数は12.4年(6-20)であった.CD罹患部位は全例で小腸大腸型であった.同時性多発癌症例は,回腸から全大腸にわたる多発癌が1例,下行結腸癌と痔瘻癌が1例,多発回腸癌が1例であった.異時性多発癌は,回腸癌と痔瘻癌が2例,S状結腸癌と回腸癌と直腸肛門管癌が1例,回腸癌と直腸肛門管癌が1例であった.
【考察】
CDに合併する同時性・異時性多発癌の部位として痔瘻癌を含む直腸肛門部癌が7例中6例に認められた.また比較的頻度が稀である小腸癌も7例中6例に認められた.CDの長期経過例の増加に伴い,今後多発癌の報告は増加していくことが予測され,CD患者における小腸癌や直腸肛門部癌に対するサーベイランス法の確立が重要である.
炎症性腸疾患(IBD)の中でも潰瘍性大腸炎(UC)の長期経過例ではcolitic cancerと呼ばれる炎症に起因する大腸癌の発生頻度が高く,多発癌の症例もめずらしくない.Crohn病(CD)においても大腸癌や小腸癌の報告は増加しているが,多発癌に関しての報告は僅かである.今回,当院において切除し得たCDを背景とした同時性・異時性多発癌(High grade dysplasiaを含む)の7例を経験したので報告する.
【症例】
症例の性別は男性5例,女性2例.同時性が3例,異時性が4例であった.CDと診断された平均年齢は25.4歳(15-38),癌に対する初回手術時の平均年齢は37.9歳(26-46),CD診断から初回手術までの平均年数は12.4年(6-20)であった.CD罹患部位は全例で小腸大腸型であった.同時性多発癌症例は,回腸から全大腸にわたる多発癌が1例,下行結腸癌と痔瘻癌が1例,多発回腸癌が1例であった.異時性多発癌は,回腸癌と痔瘻癌が2例,S状結腸癌と回腸癌と直腸肛門管癌が1例,回腸癌と直腸肛門管癌が1例であった.
【考察】
CDに合併する同時性・異時性多発癌の部位として痔瘻癌を含む直腸肛門部癌が7例中6例に認められた.また比較的頻度が稀である小腸癌も7例中6例に認められた.CDの長期経過例の増加に伴い,今後多発癌の報告は増加していくことが予測され,CD患者における小腸癌や直腸肛門部癌に対するサーベイランス法の確立が重要である.