講演情報
[R6-5]病悩期間が短い潰瘍性大腸炎手術症例の特徴と注意点
鈴木 秀幸, 渡辺 和宏, 唐澤 秀明, 梶原 大輝, 小野 智之, 伊勢 一郎, 齋藤 達, 大沼 忍, 亀井 尚, 海野 倫明 (東北大学消化器外科学)
【背景】潰瘍性大腸炎(以下UC)に対して緊急・準緊急手術が必要となる症例の中には,発症から短期間で手術にいたる場合が少なくなく,内科治療が進歩した現在でも一定数存在する.今回我々は,当科における近年のUCに対する緊急・準緊急手術患者を調査し,病悩期間が短い患者の特徴について考察した.
【方法】当科で2014年1月から2024年4月までの間に緊急・準緊急手術を施行したUC患者を診療録に基づいて調査した.発症時期が明らかな68例を対象とし,病悩期間(発症から手術までの期間)が1年未満の症例をShort群(30例),1年以上の症例をLong群(38例)とした.
【結果】術式は全例結腸(亜)全摘(S状結腸粘液瘻もしくはハルトマン手術)・回腸ストーマ造設術であった.手術適応が中毒性巨大結腸症または穿孔であった症例は,Short群6例(20%)に対しLong群1例(2.6%)であり,Short群で有意に多かった(p=0.038).60歳以上の症例も,Short群16例(53%),Long群11例(29%)であり,Short群で有意に割合が高かった(p=0.049).病悩期間と術後在院日数は有意な負の相関を示した(病悩期間を対数変換,r=-0.41,p<0.001.なお,年齢と術後在院日数には有意な相関なし).直近2年間に絞ると,Short 10例,Long 8例であったが,術後,残存直腸炎に関連して治療に難渋した症例3例はいずれもShort群(1例は若年者)であった.
【考察】緊急・準緊急手術となるUC患者のうち,病悩期間の短い症例は,長い症例に比べて中毒性巨大結腸症・穿孔例や高齢者の割合が高く,術後経過が不良になりやすい可能性があり,特に残存直腸炎(出血等)には注意が必要と考えられる.高齢者の場合,病悩期間の短い高齢発症UCは,病悩期間の長い高齢化UCと区別して考える必要があると言われているが,高齢者に限らず,病悩期間の短いUC手術症例は,その経過の違いを意識する必要があると考えられる.
【方法】当科で2014年1月から2024年4月までの間に緊急・準緊急手術を施行したUC患者を診療録に基づいて調査した.発症時期が明らかな68例を対象とし,病悩期間(発症から手術までの期間)が1年未満の症例をShort群(30例),1年以上の症例をLong群(38例)とした.
【結果】術式は全例結腸(亜)全摘(S状結腸粘液瘻もしくはハルトマン手術)・回腸ストーマ造設術であった.手術適応が中毒性巨大結腸症または穿孔であった症例は,Short群6例(20%)に対しLong群1例(2.6%)であり,Short群で有意に多かった(p=0.038).60歳以上の症例も,Short群16例(53%),Long群11例(29%)であり,Short群で有意に割合が高かった(p=0.049).病悩期間と術後在院日数は有意な負の相関を示した(病悩期間を対数変換,r=-0.41,p<0.001.なお,年齢と術後在院日数には有意な相関なし).直近2年間に絞ると,Short 10例,Long 8例であったが,術後,残存直腸炎に関連して治療に難渋した症例3例はいずれもShort群(1例は若年者)であった.
【考察】緊急・準緊急手術となるUC患者のうち,病悩期間の短い症例は,長い症例に比べて中毒性巨大結腸症・穿孔例や高齢者の割合が高く,術後経過が不良になりやすい可能性があり,特に残存直腸炎(出血等)には注意が必要と考えられる.高齢者の場合,病悩期間の短い高齢発症UCは,病悩期間の長い高齢化UCと区別して考える必要があると言われているが,高齢者に限らず,病悩期間の短いUC手術症例は,その経過の違いを意識する必要があると考えられる.