講演情報

[PD7-2]直腸癌局所再発における播種再発に対する外科的切除の是非

木村 慶1, 佐々木 将磨2, 塚田 祐一郎2, 片岡 幸三1, 別府 直仁1, 堀尾 勇規3, 内野 基3, 池内 浩基3, 伊藤 雅昭3, 池田 正孝1 (1.兵庫医科大学消化器外科学講座下部消化管外科, 2.国立がん研究センター東病院大腸外科, 3.兵庫医科大学消化器外科学講座炎症性腸疾患外科)
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はじめに)直腸癌局所再発に対する術前予後予測因子として,性別,や初回手術時のAPR施行,術前CEA高値(5.0ng/ml以上),術前画像で一方向以上の固定(F分類でF1-3),再発部位において側方再発で予後不良との報告がなされているが,骨盤内の播種再発を定義し予後を検討する報告はない.
目的と方法)国立がん研究センター東病院,兵庫医科大学において,2017年4月から2022年12月までに直腸癌局所再発で手術を施行した117例を対象とした.骨盤内播種再発は以下のように定義した.
a)前回手術ですでに腹膜播種がある
b)初発時に腫瘍への切り込みがあり初発時とは異なる部位での再発
c)骨盤内に複数箇所に広がる再発
骨盤内播種再発が予後不良因子となりうるかを検討した.
結果)
男性/女性:73/44,年齢中央値は65(35-82)歳,術前治療は81例に施行(CRT:65,CT:16),初回手術でAPR:29例,F分類はF0/F1/F2/F3:29/57/28/3,術前CEA高値:43例,播種再発:28例(23.9%),側方再発は39例(33.3%).術式はLAR/APR/TPE/LLND:39/32/29/17,骨性骨盤合併切除は42例,内腸骨血管合併切除は56例に施行.手術時間中央値は522(282-1259)分,出血量中央値は307(0-5660)ml.RM negativeは100例(85.7%),術後合併症はC-D分類GradeIIIa以上は41例(35.0%).
播種再発なし群は3年全生存率(OS)/3年無再発生存率(RFS)/3年局所無再発生存率(LRFS):96.1%/68.3%/91.0%,播種再発あり群は,OS/RFS/LRFS:69.8%/6.6%/15.7%.過去の報告による予後不良因子に骨盤内播種再発を加えたCox比例ハザードモデルによる多変量解析ではOS(HR:6.3[95%CI 1.9-20.4],p<0.01),RFS(HR:4.9[95%CI 2.7-9.2],p<0.01),LRFS(HR:15.8[95%CI 6.3-39.8],p<0.01)と骨盤内播種再発は独立した予後不良因子であった.
結語)直腸癌局所再発の予後に骨盤内播種再発が強く相関していた.直腸癌局所再発は,詳細な画像診断のもと,根治切除するかどうかを決定する必要がある.