講演情報
[R20-4]関節リウマチの治療中に肛門周囲の皮膚に潰瘍をきたした2例
竹田 春華1, 岡島 正純1, 川堀 勝史1, 矢野 琢也2, 赤羽 慎太郎2 (1.医療法人三渓会川堀病院, 2.広島大学病院消化器・移植外科)
【はじめに】抗リウマチ薬として使用されるメトトレキサート(MTX)による副作用として骨髄抑制,肝機能障害,粘膜・消化管障害などが起こることが知られているが,皮膚潰瘍も0.1%未満で起こりうるといわれている.今回我々は,抗リウマチ薬内服中に肛門周囲の皮膚に潰瘍を形成し,休薬と痔疾治療剤塗布,座浴治療にて治療し得た症例を経験したので報告する.
【症例1】74歳女性.約30年前から関節リウマチ(RA)の診断で加療を続けていた.2023年3月上旬から肛門周囲の疼痛,粘液の付着,皮膚のただれを自覚し,当院受診した.初診時,9時方向中心の肛門周囲の皮膚にφ25mm×30mm大の皮膚潰瘍を認めた.3時方向に浮腫状の血栓性外痔核も伴っており,肛門周囲の皮膚には発赤を認めていた.肛門管内との交通はなく痔瘻も否定的であった.座浴と強力ポステリザン軟膏を塗布し加療を行い,同時に内服中のMTXの内服を中止した.2週間後には疼痛軽減し,皮膚潰瘍の縮小をみとめた.6週間後には皮膚潰瘍は上皮化し,粘液も減少した.【症例2】60歳女性.22年前からRAの診断で加療を続けていた.2年前からMTXの内服を開始した.2024年1月中旬から肛門周囲の疼痛,血液の付着を自覚し,当院受診した.初診時,6時方向の肛門周囲の皮膚にφ10mm大の円形の皮膚潰瘍を認めた.瘻管などは認めなかった.内服中のMTXを中止し,座浴と強力ポステリザン軟膏の塗布を開始した.2週間後,皮膚潰瘍は浅くなり,6週間後には上皮化した.【結語】肛門科には直腸肛門疾患のみならず,肛門周囲のトラブルで受診される患者も多い.一見,痔瘻の2次口や肛門周囲湿疹と見受けられる所見でも,患者の既往歴や内服薬の有無をチェックし,薬剤性病変の可能性も考慮する必要があると考えられた.
【症例1】74歳女性.約30年前から関節リウマチ(RA)の診断で加療を続けていた.2023年3月上旬から肛門周囲の疼痛,粘液の付着,皮膚のただれを自覚し,当院受診した.初診時,9時方向中心の肛門周囲の皮膚にφ25mm×30mm大の皮膚潰瘍を認めた.3時方向に浮腫状の血栓性外痔核も伴っており,肛門周囲の皮膚には発赤を認めていた.肛門管内との交通はなく痔瘻も否定的であった.座浴と強力ポステリザン軟膏を塗布し加療を行い,同時に内服中のMTXの内服を中止した.2週間後には疼痛軽減し,皮膚潰瘍の縮小をみとめた.6週間後には皮膚潰瘍は上皮化し,粘液も減少した.【症例2】60歳女性.22年前からRAの診断で加療を続けていた.2年前からMTXの内服を開始した.2024年1月中旬から肛門周囲の疼痛,血液の付着を自覚し,当院受診した.初診時,6時方向の肛門周囲の皮膚にφ10mm大の円形の皮膚潰瘍を認めた.瘻管などは認めなかった.内服中のMTXを中止し,座浴と強力ポステリザン軟膏の塗布を開始した.2週間後,皮膚潰瘍は浅くなり,6週間後には上皮化した.【結語】肛門科には直腸肛門疾患のみならず,肛門周囲のトラブルで受診される患者も多い.一見,痔瘻の2次口や肛門周囲湿疹と見受けられる所見でも,患者の既往歴や内服薬の有無をチェックし,薬剤性病変の可能性も考慮する必要があると考えられた.