講演情報
[P22-1-7]直腸肛門部悪性黒色腫治療の現状と課題
小塩 英典, 大内 晶, 小森 康司, 木下 敬史, 佐藤 雄介, 安岡 宏展, 花澤 隆明 (愛知県がんセンター消化器外科部)
【背景】直腸肛門部原発の悪性黒色腫(anorectal malignant melanoma:AMM)は稀な疾患で,早期から高率に血行性およびリンパ行性に転移する予後不良な疾患である.皮膚黒色腫(CM)の根治切除後は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による術後補助療法が標準治療である一方,AMM治療のエビデンスは外科切除も含めて未だ乏しい.【目的】当施設におけるAMMの治療成績を報告し,本邦におけるAMMの現状と課題を検討する.【対象・方法】2014年7月から2023年9月までに当施設で外科切除を受けたAMMを対象として,患者背景・治療内容・長期成績を検討した.【結果】対象期間のAMM治療例は5例で,男性1例,年齢中央値67(47-73)歳であった.4例が有症状で発見された.占居部位はRb/Pが各3/2例,cStageI/IIIcが各4/1例であった.術式はISR/APR/TPEが1/3/1例,開腹/腹腔鏡下/ロボット支援下が2/2/1例であった.術前薬物療法が施行された症例は無かった.3例で側方郭清,1例で鼠径LN郭清を併施した.原発巣切除後Nivolumab(Nivo)による術後補助療法が6例中1例で施行された.術後Nivo補助療法施行例を含む全例で再発を認め,3年無再発生存(RFS)は0.0%,RFS中央値は179日であった.3年全生存(OS)は80.0%であった.再発形式は肺/肝臓/リンパ節/局所がそれぞれ2/3/1/1例(重複あり)であった.2例で再発巣切除を施行し,1例は局所再発切除後3か月で局所再々発を来したが,1例は原発切除から6ヶ月後に側方LN再発を切除後,Nivo補助療法を1年施行して59か月無病生存している.【結語】AMMの外科治療成績は未だ不良である.一方再発例でも外科切除+術後ICIで長期無病生存が得られた症例もあり,AMMにおいてもICI補助療法の検討が望まれる.