講演情報
[WS2-6]クローン病に対する腹腔鏡下回腸回盲部切除術の治療成績
後藤 晃紀1, 小金井 一隆1, 辰巳 健志1, 黒木 博介1, 中尾 詠一1, 小原 尚1, 木村 英明2, 齋藤 紗由美1, 杉田 昭1 (1.横浜市立市民病院, 2.横浜市立大学附属市民総合医療センター)
【目的】クローン病(CD)に対する腹腔鏡手術と開腹手術の治療成績を明らかにし,腹腔鏡手術の安全性と術後短期成績における妥当性について検討した.
【方法】対象は,CDに対して当科で回腸回盲部切除術を行った初回手術症例とした.2016年4月から2020年3月に開腹手術を行った群(OC群)と,腹腔鏡手術導入後の2020年4月から2024年3月に腹腔鏡手術を行った群(LC群)の治療成績を比較検討した.
【結果】LC群は35例,OC群は31例だった.各群の手術適応(重複あり)は,狭窄34(97.2%),28(90.3%)例(p=0.262),膿瘍 6(17.1%),5(16.1%)例(p=0.589),癌やdysplasia 0,1(3.2%)例(p=0.470)には差がないが,瘻孔は13(37.1%),24(77.4%)例(p=0.001)とOC群で多かった.術式(重複あり)は回腸回盲部切除に加え,回腸狭窄形成を4(11.4%),8(25.8%)例(p=0.117),回腸部分切除を0,1(3.2%)例(p=0.470),大腸楔状切除術を2(5.7%),7(22.6%)例(p=0.050),大腸部分切除を2(5.7%),2(6.5%)例(p=0.646)に行った.LC群で開腹移行となった症例はなく,手術時間は178(105-327),182(116-275)分(p=0.862)と差がなく,出血量は40(5-610),145(5-720)ml(p=0.003)とLC群で少なく,創長は40(25-80),70(50-150)ml(p<0.001)とLC群で短かった.Clavien-Dindo分類Gr.2以上の術後合併症発生は4(11.4%),3(9.7%)例(p=0.569)で差はなく,術後在院日数は12(11-49),14(12-38)日(p=0.029)とLC群で短かった.[全て中央値(範囲)]
【結語】クローン病に対する腹腔鏡下回腸回盲部切除術は,適応を選べば安全に施行可能で,術後短期成績も妥当と考えられた.
【方法】対象は,CDに対して当科で回腸回盲部切除術を行った初回手術症例とした.2016年4月から2020年3月に開腹手術を行った群(OC群)と,腹腔鏡手術導入後の2020年4月から2024年3月に腹腔鏡手術を行った群(LC群)の治療成績を比較検討した.
【結果】LC群は35例,OC群は31例だった.各群の手術適応(重複あり)は,狭窄34(97.2%),28(90.3%)例(p=0.262),膿瘍 6(17.1%),5(16.1%)例(p=0.589),癌やdysplasia 0,1(3.2%)例(p=0.470)には差がないが,瘻孔は13(37.1%),24(77.4%)例(p=0.001)とOC群で多かった.術式(重複あり)は回腸回盲部切除に加え,回腸狭窄形成を4(11.4%),8(25.8%)例(p=0.117),回腸部分切除を0,1(3.2%)例(p=0.470),大腸楔状切除術を2(5.7%),7(22.6%)例(p=0.050),大腸部分切除を2(5.7%),2(6.5%)例(p=0.646)に行った.LC群で開腹移行となった症例はなく,手術時間は178(105-327),182(116-275)分(p=0.862)と差がなく,出血量は40(5-610),145(5-720)ml(p=0.003)とLC群で少なく,創長は40(25-80),70(50-150)ml(p<0.001)とLC群で短かった.Clavien-Dindo分類Gr.2以上の術後合併症発生は4(11.4%),3(9.7%)例(p=0.569)で差はなく,術後在院日数は12(11-49),14(12-38)日(p=0.029)とLC群で短かった.[全て中央値(範囲)]
【結語】クローン病に対する腹腔鏡下回腸回盲部切除術は,適応を選べば安全に施行可能で,術後短期成績も妥当と考えられた.