講演情報
[P23-1-5]当院における直腸脱手術の現状
相川 佳子, 松田 聡, 川上 和彦, 中井 勝彦, 野中 雅彦, 木村 浩三, 尾田 典隆, 新井 賢一郎, 松永 篤志, 相澤 万里枝 (松田病院)
【序論】直腸脱は高齢者に多い疾患であり,術式選択には患者側の因子と,直腸脱の病態による因子を考慮して術式を決定することが望ましい.当院における,直腸脱手術の現状と成績を報告する.
【対象】2014年1月から2024年4月までに直腸脱手術を施行した症例を対象とした.初回手術,再発手術を含めて,のべ497例に直腸脱手術を施行した.
【結果】手術内訳は,GMT法190例,Thiersch法45例,Delorme法12例,Altemeire法17例,直腸固定術(suture rectopexy,ventral rectopexy)125例であった.平均年齢は,順に83.9歳,82.9歳,80.2歳,85.9歳,72.6歳であった.平均手術時間は,順に46.6分,21.1分,101.8分,122.4分,160分.同じ患者に再手術を施行した時点で再発とした場合,再発率は,順に20.5%,20.0%,35%,41.2%,15.2%であった.Clavien Dindo分類IIIa以上の合併症は認めなかった.
【考察】直腸固定術は,再発率が最も低かったが,平均年齢が低かったことより,全身麻酔が可能である症例に限定されることが問題である.高齢者に多く,全身状態が不良である患者に対して,経会陰手術を余儀なくされる症例が多く,当院ではここ数年,GMT法の占める割合が増えてきている.GMTの欠点として,Thierschの感染抜去からの再発が挙げられるが,感染時のThiersch抜去は局所麻酔でも容易に行えるため,術式選択しやすかったと考えられる.Altemeireの再発率が最も高かったが,Altemeireを選択する時点で,脱出長が長く,本来ならば固定術を選択したいところだが,全身麻酔下の手術の侵襲を考慮して,経会陰的なAltemeireを選択せざるを得なかったことが推測される.今回,縫合不全という大きな合併症はなかったが,経会陰的手術とはいえ,大きな合併症のリスクがあることは常に念頭におくべきである.
【結語】高齢者に多い直腸脱に対する当院における治療法の現状を報告した.根治性と安全性を鑑み,手術方法を選択すべきである.
【対象】2014年1月から2024年4月までに直腸脱手術を施行した症例を対象とした.初回手術,再発手術を含めて,のべ497例に直腸脱手術を施行した.
【結果】手術内訳は,GMT法190例,Thiersch法45例,Delorme法12例,Altemeire法17例,直腸固定術(suture rectopexy,ventral rectopexy)125例であった.平均年齢は,順に83.9歳,82.9歳,80.2歳,85.9歳,72.6歳であった.平均手術時間は,順に46.6分,21.1分,101.8分,122.4分,160分.同じ患者に再手術を施行した時点で再発とした場合,再発率は,順に20.5%,20.0%,35%,41.2%,15.2%であった.Clavien Dindo分類IIIa以上の合併症は認めなかった.
【考察】直腸固定術は,再発率が最も低かったが,平均年齢が低かったことより,全身麻酔が可能である症例に限定されることが問題である.高齢者に多く,全身状態が不良である患者に対して,経会陰手術を余儀なくされる症例が多く,当院ではここ数年,GMT法の占める割合が増えてきている.GMTの欠点として,Thierschの感染抜去からの再発が挙げられるが,感染時のThiersch抜去は局所麻酔でも容易に行えるため,術式選択しやすかったと考えられる.Altemeireの再発率が最も高かったが,Altemeireを選択する時点で,脱出長が長く,本来ならば固定術を選択したいところだが,全身麻酔下の手術の侵襲を考慮して,経会陰的なAltemeireを選択せざるを得なかったことが推測される.今回,縫合不全という大きな合併症はなかったが,経会陰的手術とはいえ,大きな合併症のリスクがあることは常に念頭におくべきである.
【結語】高齢者に多い直腸脱に対する当院における治療法の現状を報告した.根治性と安全性を鑑み,手術方法を選択すべきである.