講演情報
[P22-1-2]肛門部平滑筋腫の1例
福原 政作 (名古屋栄駅前ふくはら大腸肛門外科・消化器内科)
【はじめに】平滑筋腫は子宮,皮膚などのほか,食道,胃,小腸などにも認められるが,今回ごく稀な肛門部に生じた平滑筋腫症例を経験した.
【症例】51歳男性.無症状だが他院でTCS施行時に内痔核を指摘され当院を紹介受診.肛門2時方向に4cm大の隆起性皮下腫瘤を認めた.弾性軟で発赤・圧痛は伴わなかった.直腸には異常所見を認めず,肛門管内に2度の内痔核を認めた.経肛門超音波検査で内肛門括約筋との境界不明瞭な4cm大の境界明瞭な低エコー所見を認めた.診断と治療を兼ねて仙骨硬膜外麻酔下に切除手術を施行した.薄い線維性の被膜をもった境界明瞭な充実性の腫瘍であった.病理検査では紡錘形細胞増生,線維結合織増生を伴い異常な核分裂像や細胞異型は認められなかった.免疫染色にて紡錐形細胞はSMA(-),S100(-),MIB-1 index 1%以下で平滑筋腫と診断した.
【まとめ】肛門周囲に発生する平滑筋腫は,過去に消化管あるいは皮膚由来の報告があるがどちらも極めて稀とされる.消化管由来の平滑筋腫は胃と小腸に生じるものが大部分であり,直腸・肛門部に生じるものは5~10%と少ない.特に肛門管に生じるものは直腸・肛門部に生じるもののうち6.4%とさらに稀である.一方,皮膚に生じる平滑筋腫は立毛筋,血管平滑筋,陰部に局在するダルトス筋膜(浅陰嚢筋)由来で発症するとされるが,こちらも肛門部に発生した報告は極めて少ない.本症例は肛門部皮下に突出するように存在していたが手術時に病変は一部肛門括約筋に連続していたので内肛門括約筋由来と考えられた.多少の文献的考察を加えて報告する.
【症例】51歳男性.無症状だが他院でTCS施行時に内痔核を指摘され当院を紹介受診.肛門2時方向に4cm大の隆起性皮下腫瘤を認めた.弾性軟で発赤・圧痛は伴わなかった.直腸には異常所見を認めず,肛門管内に2度の内痔核を認めた.経肛門超音波検査で内肛門括約筋との境界不明瞭な4cm大の境界明瞭な低エコー所見を認めた.診断と治療を兼ねて仙骨硬膜外麻酔下に切除手術を施行した.薄い線維性の被膜をもった境界明瞭な充実性の腫瘍であった.病理検査では紡錘形細胞増生,線維結合織増生を伴い異常な核分裂像や細胞異型は認められなかった.免疫染色にて紡錐形細胞はSMA(-),S100(-),MIB-1 index 1%以下で平滑筋腫と診断した.
【まとめ】肛門周囲に発生する平滑筋腫は,過去に消化管あるいは皮膚由来の報告があるがどちらも極めて稀とされる.消化管由来の平滑筋腫は胃と小腸に生じるものが大部分であり,直腸・肛門部に生じるものは5~10%と少ない.特に肛門管に生じるものは直腸・肛門部に生じるもののうち6.4%とさらに稀である.一方,皮膚に生じる平滑筋腫は立毛筋,血管平滑筋,陰部に局在するダルトス筋膜(浅陰嚢筋)由来で発症するとされるが,こちらも肛門部に発生した報告は極めて少ない.本症例は肛門部皮下に突出するように存在していたが手術時に病変は一部肛門括約筋に連続していたので内肛門括約筋由来と考えられた.多少の文献的考察を加えて報告する.