講演情報
[O18-3]stage2/3閉塞性大腸癌に対するSEMSの有用性
小川 克大, 中村 尋, 大内 繭子, 小澄 敬佑, 江藤 弘二郎, 日吉 幸晴, 井田 智, 岩槻 政晃, 馬場 祥史, 宮本 裕士 (熊本大学大学院消化器外科学)
【はじめに】
閉塞性大腸癌は減圧処置を要するoncologic emergencyである.非閉塞性の大腸癌と比較し癌の進展から長期予後を悪化させる可能性がある.今回,閉塞性大腸癌およびその減圧方法が臨床経過に及ぼす影響について検討した.
【対象と方法】
2014年から2022年までに原発巣切除を行ったstage2/3大腸癌441例を対象とした.
① Stage2大腸癌を閉塞群(n=28),非閉塞群(n=206)に分けて比較した.
② Stage3大腸癌を閉塞群(n=25),非閉塞群(n=182)に分けて比較した.
③ Stage2/3閉塞性大腸癌をSEMS群(n=14),non-SEMS群(n=21)に分けて比較した.
【検討項目】
患者背景,腫瘍/手術関連因子,術後合併症,長期予後(OS,RFS).
【結果】
(閉塞性大腸癌のまとめ)緊急減圧処置は緊急原発巣切除術6例,イレウス管14例,減圧ストマ5例,消化管ステント15例であった.
(結果①:stage2のまとめ)
患者背景,腫瘍関連因子,手術関連因子に両群間で有意差はなかった.短期予後では,術前在院日数が閉塞群で有意に延長していた(3日vs6日).合併症発生率に有意差はなかった.5年OS,RFSでは両群間で有意差はなかった.
(結果②:stage3のまとめ)
患者背景では,閉塞群がBMIが低値(21vs22)であり,腫瘍関連因子では,閉塞群が有意にT3/4が高率(100%vs77%)であった.手術関連因子では,閉塞群が有意に開腹手術が多く(24%vs8%),出血量が多かった(143mlvs26ml).短期予後では,閉塞群は術前在院日数,全在院日数が延長したが,合併症発生率には有意差はなかった.5年RFSは両群間で有意差はなかったが,OSは有意に閉塞群が悪化していた.
(結果③:閉塞性大腸癌のまとめ)
患者背景,腫瘍関連因子,手術関連因子に両群間で有意差はなかった.短期予後では,SEMS群は臓器/体腔SSI発生率,C-D≥3の重篤な合併症発生率が低率の傾向を認めた(0%vs24%).5年OS,RFSで両群間に差はなかった.
【まとめ】
閉塞性大腸癌はstage2においては長期予後に差はないが,stage3においては長期予後が悪化する.減圧法別では,SEMSはその他の減圧法と比較し短期予後を改善させ,長期予後には影響を及ぼさない.
閉塞性大腸癌は減圧処置を要するoncologic emergencyである.非閉塞性の大腸癌と比較し癌の進展から長期予後を悪化させる可能性がある.今回,閉塞性大腸癌およびその減圧方法が臨床経過に及ぼす影響について検討した.
【対象と方法】
2014年から2022年までに原発巣切除を行ったstage2/3大腸癌441例を対象とした.
① Stage2大腸癌を閉塞群(n=28),非閉塞群(n=206)に分けて比較した.
② Stage3大腸癌を閉塞群(n=25),非閉塞群(n=182)に分けて比較した.
③ Stage2/3閉塞性大腸癌をSEMS群(n=14),non-SEMS群(n=21)に分けて比較した.
【検討項目】
患者背景,腫瘍/手術関連因子,術後合併症,長期予後(OS,RFS).
【結果】
(閉塞性大腸癌のまとめ)緊急減圧処置は緊急原発巣切除術6例,イレウス管14例,減圧ストマ5例,消化管ステント15例であった.
(結果①:stage2のまとめ)
患者背景,腫瘍関連因子,手術関連因子に両群間で有意差はなかった.短期予後では,術前在院日数が閉塞群で有意に延長していた(3日vs6日).合併症発生率に有意差はなかった.5年OS,RFSでは両群間で有意差はなかった.
(結果②:stage3のまとめ)
患者背景では,閉塞群がBMIが低値(21vs22)であり,腫瘍関連因子では,閉塞群が有意にT3/4が高率(100%vs77%)であった.手術関連因子では,閉塞群が有意に開腹手術が多く(24%vs8%),出血量が多かった(143mlvs26ml).短期予後では,閉塞群は術前在院日数,全在院日数が延長したが,合併症発生率には有意差はなかった.5年RFSは両群間で有意差はなかったが,OSは有意に閉塞群が悪化していた.
(結果③:閉塞性大腸癌のまとめ)
患者背景,腫瘍関連因子,手術関連因子に両群間で有意差はなかった.短期予後では,SEMS群は臓器/体腔SSI発生率,C-D≥3の重篤な合併症発生率が低率の傾向を認めた(0%vs24%).5年OS,RFSで両群間に差はなかった.
【まとめ】
閉塞性大腸癌はstage2においては長期予後に差はないが,stage3においては長期予後が悪化する.減圧法別では,SEMSはその他の減圧法と比較し短期予後を改善させ,長期予後には影響を及ぼさない.