講演情報

[SR5-4]尾側アプローチによる腹腔鏡下横行結腸癌手術の治療成績

高島 順平, 犬竹 平, 南角 哲俊, 金城 信哉, 小泉 彩香, 茂原 富美, 山崎 健司, 貝沼 雅彦, 藤本 大裕, 三浦 文彦, 小林 宏寿 (帝京大学溝口病院外科)
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【はじめに】横行結腸癌に対する腹腔鏡手術は難度が高く,十分に確立されていない.当院では尾側からのアプローチを採用しており,当科の治療成績を検討した.【方法】2018年4月から2023年3月まで当院で横行結腸癌に対して腹腔鏡手術を実施した43例を対象とし,臨床的特徴および手術成績を検討した.【結果】性別は男性27例/女性16例,年齢中央値は72歳(36-91)であった.全周性病変が13例(32.6%)と多く,大腸ステント3例,経肛門イレウス管2例.腹腔鏡37例に対してロボット6例であった.全例尾側アプローチで開始されており,全例腹腔鏡およびロボットで完遂し,開腹移行は0例であった.腫瘍の局在は肝弯曲部8例,右側11例,中央6例,左側9例,脾弯曲部9例であった.術式は結腸右半切除術21例,結腸部分切除術14例,結腸左半切除術8例で,授動は肝弯授動24例,脾弯授動18例,肝弯・脾弯両側授動1例であった.血管処理は中結腸動脈右枝13例,中結腸動脈左枝15例に対してMCA根部処理が10例であった.また副中結腸動脈を有する例が12例(27.9%)で,そのうち5例は副中結腸動脈が栄養血管であった.郭清はD3 35例,D2 7例,D1 1例.手術時間は242分(120-455),出血量は25mL(0-123).術後合併症は2例(4.7%)であり,麻痺性イレウスとポートサイトヘルニアが1例ずつであった.ICG評価による腸管切離ライン変更例が1例あり,こちらの症例は縫合不全なく順調に経過した.術後在院日数は8日(6-45)であった.StageはI/II/III/IV=3/20/16/4例であった.リンパ節転移例は18例(41.9%)と多く,そのうち221のみ転移例が14例に対して222転移例3例,223転移例3例で認めた.【考察】横行結腸癌は位置や血管走行などが多様であり,定型化が難しいとされる.当科では積極的にD3郭清を施行されていたが,合併症も少なくその妥当性が示唆された.当科では横行結腸癌に対しても尾側アプローチによる定型化した手術手技を実施しており,安全性に寄与していると考える.画像を供覧し,当科における手技のポイントを提示する.