講演情報

[P9-2-4]かゆみを主訴に受診した患者の治療後の症状について

矢野 孝明 (ヤノ肛門外科クリニック)
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はじめに
肛門科ではかゆみを訴えて受診する患者は少なくなく,それらの患者が肛門疾患を伴っているケースもある.臨床ではかゆみに対する治療として主に薬剤治療が行われる.またかゆみを繰り返すケースには肛門疾患に対して外科治療が行われることもある.しかし,その有効性に関する知見が無い.そこでこの研究ではかゆみ症状を契機に肛門疾患が認められた症例を対象として,治療後にかゆみ症状が消えたかどうかについて調べた.
対象と方法
本研究は2023年5月から2023年11月までの期間に当院に肛門のかゆみを主訴に受診して,肛門疾患を認めた症例を対象とし,治療から2カ月後のかゆみについて後向き観察研究を行った.
結果
研究対象となる症例は40例であった.薬剤治療の27例では約90%,ALTA療法の9例では100%,手術治療の4例では100%のかゆみ消失率であった.
肛門疾患の内訳は重複を含めて,内痔核26例,裂肛7例,皮垂3例,痔瘻1例であった.かゆみ既往歴ありの患者が半数を占めていた.真菌検査の結果が陽性であった患者には8例であった.
考察
かゆみを伴うI度の内痔核に対する治療方法にALTA療法が加わり,かゆみを伴う皮垂や外痔核に対してこれまで手術治療に消極的であった臨床医の姿勢が積極的なものに変わるかもしれない.