講演情報
[P23-2-2]鼠径ヘルニア術前後での排便機能改善について
高岸 智子, 三木 克彦, 遠藤 清 (生駒市立病院)
当院は210床,常勤外科医3名,年間全身麻酔下外科手術件数300件程度をこなしながら外来・救急・往診などを行っ ている.当院では2021年より腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術TAPP(transabdominalpreperitonealrepair)の導入を開始し,2021年から2023年で85件のTAPP手術を行なった.導入と同時に周術期管理をより充実させるために外来および術後リハビリを強化し,鼠径ヘルニアになった理由およびその改善,また鼠径ヘルニアに伴う随伴症状の治療にも慎重に対応するように心がけた.
従来行われていた前方アプローチからTAPPを導入するにあたり,手術時間の短縮を図ることはもちろんのこと,システムの構築,パスの導入を行なった.前立腺手術後や開腹手術歴の後,閉鎖孔ヘル ニア合併症例や比較的大きな鼠径ヘルニアなどの症例についてTAPPにて施行できるようにした.希望される方には周術期のリハビリ指導を行うようにしている.2021年導入年では手術時間中央値が1時間6分であったが,2023年の手術時間中央値は51分であり,再発症例や腹腔鏡・ロボット支援下手術後の鼠径ヘルニアについても増加傾向にある.入院日数については患者都合にもよるがほとんどが2泊3日程度である.症状については鼠径部の膨隆は全例認めるものの,鼠径ヘルニアの随伴症状として,鼠径部の疼痛・腰痛・便秘症・排便困難感・残便感を訴える症例を認める.TAPPの約25%の症例で術前に便秘症を認め,術後に排便困難感が消失された症例も散見されたが,便秘薬の服薬減量,リハビリによって排便機能が改善できた症例も認めた.
鼠径ヘルニア手術において,脱出した鼠径ヘルニアを修復するだけでなく,鼠径ヘルニアになった原因を追求し,今後鼠径ヘルニアの再発を起こさないためにも排便機能コントロールについては十分な説明および術後リハビリトレーニング,内服コントロールが必要であると思われた.
従来行われていた前方アプローチからTAPPを導入するにあたり,手術時間の短縮を図ることはもちろんのこと,システムの構築,パスの導入を行なった.前立腺手術後や開腹手術歴の後,閉鎖孔ヘル ニア合併症例や比較的大きな鼠径ヘルニアなどの症例についてTAPPにて施行できるようにした.希望される方には周術期のリハビリ指導を行うようにしている.2021年導入年では手術時間中央値が1時間6分であったが,2023年の手術時間中央値は51分であり,再発症例や腹腔鏡・ロボット支援下手術後の鼠径ヘルニアについても増加傾向にある.入院日数については患者都合にもよるがほとんどが2泊3日程度である.症状については鼠径部の膨隆は全例認めるものの,鼠径ヘルニアの随伴症状として,鼠径部の疼痛・腰痛・便秘症・排便困難感・残便感を訴える症例を認める.TAPPの約25%の症例で術前に便秘症を認め,術後に排便困難感が消失された症例も散見されたが,便秘薬の服薬減量,リハビリによって排便機能が改善できた症例も認めた.
鼠径ヘルニア手術において,脱出した鼠径ヘルニアを修復するだけでなく,鼠径ヘルニアになった原因を追求し,今後鼠径ヘルニアの再発を起こさないためにも排便機能コントロールについては十分な説明および術後リハビリトレーニング,内服コントロールが必要であると思われた.