講演情報
[P19-1-3]短期間に経験した大腸癌複数病変の3例
清家 和裕 (小田原市立病院外科)
はじめに:大腸癌を複数認めた場合は同一切除範囲に含めるか,別々に切除するかなど治療選択に迷うことがある.今回我々は3か月という短期間に経験した大腸癌複数病変の3例を報告する.
症例1:72歳,男性.S状結腸癌にて紹介となった.内視鏡にてSDJに亜全周性腫瘍を認め,スコープは通過したが,疼痛強く,下行結腸までの観察となった.注腸造影にて横行結腸肝彎曲に全周性の狭窄を認めた.手術でも横行結腸に腫瘍が疑われたため,右半結腸切除およびS状結腸切除の方針としたが,S状結腸癌に要した脾彎曲脱転の際に横行結腸間膜を損傷したため,両病変を同一切除範囲に含む腹腔鏡下拡大左半結腸を施行した.
症例2:53歳,男性.SDJ癌と直腸癌および直腸腺腫の診断で紹介となった.内視鏡では直腸癌はAV16cm,直腸腺腫はAV14cmに認めたが,AV10cmに以前のポリープ切除時のクリップが残存しており,クリップを吻合時に巻き込むことが危惧された.手術は腹腔鏡下の全病変同一切除範囲の方針として,脾彎曲脱転行ったが,腸管が短く,吻合が困難なことが予測されたため,直腸腺腫とクリップの間で何とか切離して,吻合した.触診でクリップを確認できないため,切離部位の決定に注意を要した.切除腸管は25cmと広範囲切除となった.
症例3:76歳,女性.直腸癌と転移性肝腫瘍にて紹介となった.直腸癌の点墨目的の内視鏡にて,念のため全大腸内視鏡を行ったところ,横行結腸に癌を認めたため,手術は腹腔鏡下低位切除および右半結腸切除を施行した.
考察:症例1と症例3は確定診断がついていたが,手術前の検査にて新たに病変が見つかった.症例2のように内視鏡治療後のクリップが残っている場合は吻合時に巻き込まないように細心の注意が必要となる.複数病変を同一切除範囲に含める場合は広範囲切除となり,吻合部の緊張に配慮を要する.
結語:前医で診断が確定していても,術前の全大腸内視鏡検査は行うことが好ましい.
症例1:72歳,男性.S状結腸癌にて紹介となった.内視鏡にてSDJに亜全周性腫瘍を認め,スコープは通過したが,疼痛強く,下行結腸までの観察となった.注腸造影にて横行結腸肝彎曲に全周性の狭窄を認めた.手術でも横行結腸に腫瘍が疑われたため,右半結腸切除およびS状結腸切除の方針としたが,S状結腸癌に要した脾彎曲脱転の際に横行結腸間膜を損傷したため,両病変を同一切除範囲に含む腹腔鏡下拡大左半結腸を施行した.
症例2:53歳,男性.SDJ癌と直腸癌および直腸腺腫の診断で紹介となった.内視鏡では直腸癌はAV16cm,直腸腺腫はAV14cmに認めたが,AV10cmに以前のポリープ切除時のクリップが残存しており,クリップを吻合時に巻き込むことが危惧された.手術は腹腔鏡下の全病変同一切除範囲の方針として,脾彎曲脱転行ったが,腸管が短く,吻合が困難なことが予測されたため,直腸腺腫とクリップの間で何とか切離して,吻合した.触診でクリップを確認できないため,切離部位の決定に注意を要した.切除腸管は25cmと広範囲切除となった.
症例3:76歳,女性.直腸癌と転移性肝腫瘍にて紹介となった.直腸癌の点墨目的の内視鏡にて,念のため全大腸内視鏡を行ったところ,横行結腸に癌を認めたため,手術は腹腔鏡下低位切除および右半結腸切除を施行した.
考察:症例1と症例3は確定診断がついていたが,手術前の検査にて新たに病変が見つかった.症例2のように内視鏡治療後のクリップが残っている場合は吻合時に巻き込まないように細心の注意が必要となる.複数病変を同一切除範囲に含める場合は広範囲切除となり,吻合部の緊張に配慮を要する.
結語:前医で診断が確定していても,術前の全大腸内視鏡検査は行うことが好ましい.