講演情報

[P13-2-1]大腸神経内分泌腫瘍に対する治療成績

藤井 悠花, 末田 聖倫, 安井 昌義, 森 良太, 北風 雅敏, 賀川 義規, 西村 潤一, 久保 維彦, 牛丸 裕貴, 益池 靖典, 菅生 貴仁, 向井 洋介, 柳本 喜智, 小松 久晃, 金村 剛志, 和田 浩志, 後藤 邦仁, 大森 健, 宮田 博志, 大植 雅之 (大阪国際がんセンター消化器外科)
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【緒言】神経内分泌腫瘍は稀な疾患であるが,本邦でも近年増加傾向にある.また大腸神経内分泌腫瘍は大腸癌と比較して発生頻度が低いことから不明な点が多く,エビデンスが十分でない.今回,我々は当院で外科的切除を施行した大腸神経内分泌腫瘍の治療成績を報告する.
【対象と方法】2006年8月~2024年2月までの期間に,当院で外科的切除を行った大腸神経内分泌腫瘍39例の治療成績について後方視的に検討した.
【結果】年齢中央値は55歳(32-78歳),男性20例,女性19例であった.腫瘍部位は回盲部1例,上行結腸3例,直腸35例であった.組織型はNET G1 28例,G2 3例,神経内分泌がん(NEC)2例,MANEC 6例であった.内視鏡治療後追加切除例が9例,初回手術例が30例で,追加切除の理由は断端陽性が2例,脈管侵襲陽性が7例であった.手術内容は,局所切除が9例,リンパ節郭清を伴う腸管切除が30例であった.局所切除は,経肛門的腫瘍切除が3例,経肛門的鏡視下腫瘍切除(TAMIS)が6例であった.リンパ節郭清を伴う腸管切除の30例中27例に腹腔鏡ないしロボット手術が行われた.直腸神経内分泌腫瘍35例において,covering stomaを造設した症例は18例認めたが,肛門非温存症例は1例のみであった.術後在院日数中央値は14日(6-93日),Clavien Dindo分類Garde3以上の術後合併症は2例(麻痺性腸閉塞,深部SSI)に認めた.内視鏡治療後追加切除目的で施行された腸管切除症例9例中,リンパ節転移を認めた症例は3例で,腫瘍遺残を認めた症例はなかった.初回手術症例30例において,腫瘍径は全例10mm以上(10-50mm)で,10例にリンパ節転移を認めた.術後観察期間中央値は645日(17-4948日)で,2例に再発を認めたが,原病死は認めていない.
【結語】当院における大腸神経内分泌腫瘍の手術は安全に施行されていた.大腸神経内分泌腫瘍は根治切除により良好な予後が期待できるが,大腸神経内分泌がんは悪性度が高く早期に血行性転移をきたすため,予後不良であることが多い.今後更なる症例集積の上,中長期成績についても検討が必要と思われる.