講演情報

[P3-2-5]泌尿器系臓器への浸潤を伴った局所進行大腸癌に対する術前化学療法の効果(症例報告)

林 伸泰, 森本 祥悠, 小林 雄太, 橋本 整司, 宮嵜 安晃, 道浦 俊哉, 山邊 和生 (紀南病院外科)
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局所進行大腸癌に対する根治手術において,膀胱への直接浸潤が尿管膀胱移行部周囲に及ぶ場合,広範囲切除後尿路変更を余儀なくされることもある.広範囲膀胱浸潤をきたした局所進行大腸癌に対し術前化学療法を施行し尿路を温存し根治的腹腔鏡手術が可能となった2例を報告する.【症例1】58歳女性.血便,便秘を主訴に当院受診.画像検査で.膀胱への広範浸潤を伴うS状結腸癌と診断した.panitumumab+FOLFOX4を4コース施行した.その後PRの判定で腹腔鏡下S状結腸切除術,膀胱部分切除を施行した.尿管温存が可能であった.病理所見はCK(S),2型,33x25mm,tub1,pSI(膀胱壁),切除断端陰性,pN2aであった.【症例2】62歳男性.陰茎より便が排出されるため近医より紹介.画像で直腸癌の膀胱下部への直接浸潤が疑われた.人工肛門を造設後,panitumumab+mFOLFOX6を6コース投与後PRの判定であった.その後,低位前方切除,膀胱部分切除術を施行した.尿管は温存し腹腔鏡下に膀胱部分切除が可能であった.病理所見はRS,2型,50x40mm,tub1,pSI(膀胱壁),切除断端陰性,pN0であった.2 症例ともに再発なく現在も経過観察中である.膀胱浸潤を伴う局所進行大腸癌において術前化学療法を行うことによって,尿路変更することなく腹腔鏡手術による根治切除が可能となる可能性が示唆された.