講演情報
[O19-4]横行結腸癌に対する低侵襲手術手技の定型化~結腸癌手術に対するCMEの最後のピース~
井口 健太, 奥田 尚子, 土屋 皓平, 岡本 浩直, 淺利 昌大, 塩澤 学 (神奈川県立がんセンター大腸外科)
【緒言】
横行結腸癌に対する低侵襲手術は,その周囲臓器,血管走行の多様性から難度が高い.さらに横行結腸内の局在(肝彎:Hep-T/中央:Mid-T/脾彎:Sp-T)によっても切除範囲,郭清範囲に施設毎のばらつきがあり一定の見解はない.一方,手術の定型化のためには,右側結腸癌手術,左側結腸癌手術のアプローチ,解剖に精通している必要があり,横行結腸癌手術はCMEの最後のピースと考えられる.当科では,右側・左側結腸癌手術での基本手技・概念をbaseに,「必要十分な授動と郭清」のコンセプトを意識した横行結腸癌手術を行っており,その手技について報告する.
【手術手技】
① Hep-T:「結腸右半切除の手技(後腹膜先行アプローチ)」をbaseとする.授動範囲は左側横行結腸まで,リンパ節郭清は223LNを郭清し中結腸動脈(MCA)右枝を切離.腫瘍が進行しているケースではMCA根部で切離し拡大結腸右半切除とする.脾彎曲部授動は原則施行しない.
② Sp-T:「下行結腸切除,S状結腸切除の手技」をbaseとする.S状結腸切除と同様の内側アプローチから開始し下腸間膜動脈本幹を温存し,左結腸動脈を根部で切離.同じ高さで下腸間膜静脈を切離.内側アプローチを連続させ下行結腸間膜を授動.頭側アプローチで脾彎曲部完全授動を施行した後,上腸間膜動脈左側アプローチで223LNを郭清しMCA左枝を切離.肝彎曲部授動は原則施行しない.
③ Mid-T:上記2つのアプローチのhybrid.「脾湾曲部授動(左側結腸切除手技)を先行する横行結腸部分切除」を基本とする.リンパ節郭清は223LNを郭清しMCA根部切離.副中結腸動脈が存在する場合は切離する.十二指腸・膵頭部前面の授動,胃結腸静脈管周囲郭清(右側結腸手術に準じる),肝彎曲部授動については腫瘍進行度,横行結腸の長さや腸間膜郭清ラインを考慮し症例毎に決定する.
【結語】
右側・左側結腸切除手技をbaseとすることで,“surgically and oncologically feasible”な横行結腸癌手術を施行可能であり,定型化に寄与するものと考えられる.今回,横行結腸部分切除の手技を中心にビデオを供覧する.
横行結腸癌に対する低侵襲手術は,その周囲臓器,血管走行の多様性から難度が高い.さらに横行結腸内の局在(肝彎:Hep-T/中央:Mid-T/脾彎:Sp-T)によっても切除範囲,郭清範囲に施設毎のばらつきがあり一定の見解はない.一方,手術の定型化のためには,右側結腸癌手術,左側結腸癌手術のアプローチ,解剖に精通している必要があり,横行結腸癌手術はCMEの最後のピースと考えられる.当科では,右側・左側結腸癌手術での基本手技・概念をbaseに,「必要十分な授動と郭清」のコンセプトを意識した横行結腸癌手術を行っており,その手技について報告する.
【手術手技】
① Hep-T:「結腸右半切除の手技(後腹膜先行アプローチ)」をbaseとする.授動範囲は左側横行結腸まで,リンパ節郭清は223LNを郭清し中結腸動脈(MCA)右枝を切離.腫瘍が進行しているケースではMCA根部で切離し拡大結腸右半切除とする.脾彎曲部授動は原則施行しない.
② Sp-T:「下行結腸切除,S状結腸切除の手技」をbaseとする.S状結腸切除と同様の内側アプローチから開始し下腸間膜動脈本幹を温存し,左結腸動脈を根部で切離.同じ高さで下腸間膜静脈を切離.内側アプローチを連続させ下行結腸間膜を授動.頭側アプローチで脾彎曲部完全授動を施行した後,上腸間膜動脈左側アプローチで223LNを郭清しMCA左枝を切離.肝彎曲部授動は原則施行しない.
③ Mid-T:上記2つのアプローチのhybrid.「脾湾曲部授動(左側結腸切除手技)を先行する横行結腸部分切除」を基本とする.リンパ節郭清は223LNを郭清しMCA根部切離.副中結腸動脈が存在する場合は切離する.十二指腸・膵頭部前面の授動,胃結腸静脈管周囲郭清(右側結腸手術に準じる),肝彎曲部授動については腫瘍進行度,横行結腸の長さや腸間膜郭清ラインを考慮し症例毎に決定する.
【結語】
右側・左側結腸切除手技をbaseとすることで,“surgically and oncologically feasible”な横行結腸癌手術を施行可能であり,定型化に寄与するものと考えられる.今回,横行結腸部分切除の手技を中心にビデオを供覧する.