講演情報

[R12-5]MRI画像の深層学習による直腸癌に対する術前化学療法の治療反応予測

加藤 伸弥1,2, 三吉 範克1,2, 藤野 志季2, 竹田 充伸1, 関戸 悠紀1, 波多 豪1, 浜部 敦史1, 荻野 崇之1, 植村 守1, 土岐 祐一郎1, 江口 英利1 (1.大阪大学医学部附属病院消化器外科, 2.大阪国際がんセンターがん医療創生部)
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【背景/目的】直腸癌の術前治療に対する反応は,通常,治療前と治療後に収集された画像データを術後の病理学と比較することで行われる.しかし,進行直腸癌に対して術前治療が広く実施されるようになるにつれ,治療効果を事前に確実に予測する必要性が高まっている.本研究では治療前MRI画像を深層学習ネットワークを用いて解析し,術前化学療法に対する直腸癌の反応を予測するモデルを構築した.
【方法】2011年1月から2018年6月の間に大阪大学医学部附属病院で進行直腸癌の術前化学療法後に根治的切除を受けた患者40名のデータを後ろ向きに解析した.モデルの構築には,Matlab 2023b(MathWorks)に実装されたAlexNetを使用した.学習セットとして直腸癌主病変の治療前MRI T2強調画像,拡散強調画像それぞれ105枚を利用し畳み込みニューラルネットワークモデルを作成した.術前化学療法への反応不良を予測するための診断精度を評価するための検証セットとして,10名の患者の治療前MRI T2強調画像,拡散強調画像それぞれ36枚の画像を使用した.
【結果】このモデルは術前化学療法に対する反応不良の予測において,感度 72.2%(13/18),特異度 55.6%(10/18),陽性適中率 61.9%(13/21),陰性適中率 66.7%(10/15),精度63.9%(23/36)を示した.
【結論】今後,MRI画像の解析にディープラーニングを利用することで,術前化学療法に対する直腸癌の治療反応性をさらに正確に予測できるようになることが期待される.