講演情報

[VWS2-4]右側結腸癌に対するロボット手術の手技の工夫及び短期成績の検討

赤崎 卓之, 佐藤 誠也, 塩川 桂一, 竹下 一生, 下河邉 久陽, 佐原 くるみ, 棟近 太郎, 長野 秀紀, 松本 芳子, 吉松 軍平, 長谷川 傑 (福岡大学病院消化器外科)
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【はじめに】
 結腸癌に対するロボット支援手術(RS)の保険収載に伴い,手術件数は増加傾向にある.ロボット手術は精緻な操作ができる反面,腹腔鏡に対する優越性,術者要因に伴う安全性の確保に対するエビデンスは少ない.
 【目的】当院における手術手技を供覧,Lapとの短期成績を比較,RSにおける術者要因の安全性について検討した.
 【対象】
2021年~2024年に右側結腸癌に対し加療したRS(A群)32例とLap(B群)168例.
 ①年齢,性別,BMI,ASA-PS,cStage,手術歴,術式を共変量にA/B群でPropensity matching後に治療成績の比較
 ②A群でロボット支援下直腸手術におけるプロクター(C郡)と非プロクター(D郡)で治療成績を比較した.
 【手技】
右側結腸癌に対するRSにおいて,内側アプローチから小腸切離を先行,体位変換を行わずに後腹膜アプローチに準じた術野展開を行っている.surgical trunkの郭清ではorgan clipまたは助手鉗子で間膜を展開することで4th armを郭清の展開に有効に使用,腹腔鏡に準じた展開を行いロボットによる精緻な動きによる郭清を心掛けている.非プロクターが行う際には必ずプロクターが指導を行った.
 【結果】
 ①RSは10名で行われ,A群30例,B群30例が選択された.A/B群それぞれ四分位(IQR)で年齢72(66-81)/72(63-77)(p=0.92),男:女15:15/14:16(p=0.79),BMI 23.4(19.9-26.2)/22(19.2-23.3)(p=0.28),StageI/II/III/IV(11/7/10/2)/(9/11/8/2)(p=0.72),手術成績:手術時間294(236-345)/327分(271-395)(p=0.89),出血量8(0-27)/5(0-67)g(p=0.45),術式ICR 18,RHC12/ICR 17,RHC 13例(p=0.79),郭清リンパ節23/31個(p<0.05),合併症1/3例(p=0.29).
 ②プロクター3名,非プロクター7名で施行,C/D群17/15例であった.年齢73(60-81)/72(67-81)(p=0.99),男:女7:10/10:5(p=0.14),BMI 23.8(21-26.3)/23.3(19.2-24.8)(p=0.52),StageI/II/III/IV(7/3/6/1)/(5/5/4/1)(p=0.77),手術成績:手術時間243(185-308)/334分(288-398)(p<0.05),出血量12(0-26)/5(0-37)g(p=0.47),術式ICR 11,RHC6/ICR 8,RHC 7例(p=0.5),郭清リンパ節22/25個(p=0.45),合併症1/0例(p=0.21)であった.
 【結語】
 結腸癌におけるRSはLapと同様に行え,エキスパートが助手を行うことで術者要因に左右されずRSを行えた.