講演情報
[R6-6]当院における回腸嚢周囲難治性瘻孔症例の検討
西尾 梨沙, 新谷 裕美子, 操 佑樹, 中林 瑠美, 工代 哲也, 井上 英美, 大城 泰平, 古川 聡美, 岡本 欣也, 山名 哲郎 (JCHO東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター)
はじめに:潰瘍性大腸炎に対する標準術式は大腸全摘・回腸嚢再建術であるが,術後に回腸嚢周囲に瘻孔形成し治療に難渋することが少なくない.今回,回腸嚢周囲に瘻孔形成した症例について臨床的に検討したので報告する.
対象と方法:2011年1月から2023年12月に潰瘍性大腸炎に対し大腸全摘・回腸嚢再建術を施行後に回腸嚢周囲に瘻孔形成し手術を要した症例を対象としretrospectiveに検討した.
結果:回腸嚢周囲瘻孔に対し手術を施行した症例は79例で,男性53例,女性26例,瘻孔に対する手術時の年齢は39.1歳(19-69歳),潰瘍性大腸炎発症年齢は23.1歳(1-55歳),回腸嚢再建術時年齢は29.2歳(5-66歳),再建方法はIAA17例,IACA53例,IRA6例,不明3例であった.瘻孔に対し肛門手術を施行した症例は64例,人工肛門造設術を施行した症例は17例,回腸嚢切除術を施行した症例は26例であった(重複あり).診断が潰瘍性大腸炎からクローン病 に変更された症例は16例認めた.肛門手術64例の瘻孔の詳細は,低位筋間痔瘻28例,坐骨直腸窩痔瘻18例,骨盤直腸窩痔瘻8例,膣瘻3例,分類不能7例で,一次口の部位は肛門陰窩34例,吻合部23例,潰瘍病変2例,不明5例であった.人工肛門造設術または回腸嚢切除術を施行された症例は36例で,うち24例は肛門手術後(低位筋間痔瘻1例,坐骨直腸窩または骨盤直腸窩痔瘻11例,膣瘻2例,分類不能10例,一次口の部位:肛門陰窩5例,吻合部12例,不明7例)であった.再建方法はIAA11例,IACA24例,IRA1例で,診断がクローン病に変更された症例は16例であった.
結語:回腸嚢周囲に瘻孔形成した79例中36例(45.6%)で,また,クローン病に診断が変更された16例全例で人工肛門造設術または回腸嚢切除術を施行されていた.回腸嚢再建後,吻合部から深部に瘻孔形成した症例では人工肛門造設術または回腸嚢切除術が必用となる可能性が高いと考えられる.
対象と方法:2011年1月から2023年12月に潰瘍性大腸炎に対し大腸全摘・回腸嚢再建術を施行後に回腸嚢周囲に瘻孔形成し手術を要した症例を対象としretrospectiveに検討した.
結果:回腸嚢周囲瘻孔に対し手術を施行した症例は79例で,男性53例,女性26例,瘻孔に対する手術時の年齢は39.1歳(19-69歳),潰瘍性大腸炎発症年齢は23.1歳(1-55歳),回腸嚢再建術時年齢は29.2歳(5-66歳),再建方法はIAA17例,IACA53例,IRA6例,不明3例であった.瘻孔に対し肛門手術を施行した症例は64例,人工肛門造設術を施行した症例は17例,回腸嚢切除術を施行した症例は26例であった(重複あり).診断が潰瘍性大腸炎からクローン病 に変更された症例は16例認めた.肛門手術64例の瘻孔の詳細は,低位筋間痔瘻28例,坐骨直腸窩痔瘻18例,骨盤直腸窩痔瘻8例,膣瘻3例,分類不能7例で,一次口の部位は肛門陰窩34例,吻合部23例,潰瘍病変2例,不明5例であった.人工肛門造設術または回腸嚢切除術を施行された症例は36例で,うち24例は肛門手術後(低位筋間痔瘻1例,坐骨直腸窩または骨盤直腸窩痔瘻11例,膣瘻2例,分類不能10例,一次口の部位:肛門陰窩5例,吻合部12例,不明7例)であった.再建方法はIAA11例,IACA24例,IRA1例で,診断がクローン病に変更された症例は16例であった.
結語:回腸嚢周囲に瘻孔形成した79例中36例(45.6%)で,また,クローン病に診断が変更された16例全例で人工肛門造設術または回腸嚢切除術を施行されていた.回腸嚢再建後,吻合部から深部に瘻孔形成した症例では人工肛門造設術または回腸嚢切除術が必用となる可能性が高いと考えられる.