講演情報

[P21-1-4]婦人科悪性疾患に対する直腸合併切除例の検討

青柳 康子1, 増田 大機1, 新井 聡大1, 塚本 可奈子2, 朝田 泰地1, 鵜梶 真衣1, 立山 幸樹1, 金田 亮1, 三浦 竣助1, 西山 優1, 山口 和哉1, 菅原 俊喬1, 長野 裕人1, 入江 工1, 井ノ口 幹人1 (1.武蔵野赤十字病院外科, 2.武蔵野赤十字病院産婦人科)
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【背景】婦人科悪性疾患に対する手術において,婦人科医と消化器外科医による連携合同手術がしばしば行われている.特にダグラス窩の背側を構成する直腸は,卵巣癌の直接浸潤や腹膜播種によって浸潤されることが多い臓器であり,直腸合併切除を施行することがあるが,その術後成績についての報告は十分ではない.
 【目的】当院における,婦人科悪性疾患に対する手術時に直腸合併切除を施行した症例について,術後成績を検討することを目的とした.
 【対象・方法】2018年11月~2024年4月までに,当院の婦人科悪性疾患手術において消化器外科と連携し,直腸合併切除を施行した16例を対象とした.患者背景,手術成績,病理学的因子について後方視的に検討した.
 【結果】年齢は61.5歳(37-80歳),16例全例が女性で,BMIは20.3(16.8-35.1),ASA-PSは1/2/3=1/12/3であった.疾患は,卵巣癌が9例(56.3%)と最も多く,その他は卵管癌3例(18.8%),子宮頸癌2例(12.5%),腹膜癌1例(6.3%),子宮体癌1例(6.3%)であった.全例開腹手術であり,術式は,低位前方切除術/高位前方切除術/ハルトマン手術/骨盤内臓全摘術=9/2/3/2であった.予防的回腸人工肛門造設術を施行した症例はなかった.小腸部分切除術,虫垂切除術を併施した症例をそれぞれ2例ずつ認めた.手術時間は393.5分(305-774分),出血量は1640ml(500-4030ml),術中輸血例は13例(81.3%),術後在院日数は12日(10-86日),Clavoen-Dindo分類III以上の合併症は,縫合不全1例(6.25%),腸閉塞1例(6.25%),出血性十二指腸潰瘍1例(6.25%)認めた.病理結果で他臓器浸潤を認めた症例は8例(50%)であり,うち直腸6例(37.5%),小腸2例(12.5%),虫垂1例(6.3%),S状結腸間膜1例(6.3%),子宮1例(6.3%)であった.
 【結語】当院における婦人科悪性疾患に対する直腸合併切除例の術後成績を示した.今後は症例を積み重ね,短期,長期成績を検討していく.