講演情報
[P8-1-5]当院における結腸癌に対するロボット支援手術の現状と課題
仲本 嘉彦1, 生田 理沙1, 松木 豪志1, 長野 心太1, 古出 隆大1, 一瀬 規子1, 藤川 正隆1, 笠井 明大1, 中島 隆善1, 岡本 亮1, 吉江 秀範2, 生田 真一1, 相原 司1, 柳 秀憲1, 山中 若樹1 (1.明和病院外科, 2.吉江外科胃腸科)
日本製手術支援ロボットhinotoriが2020年8月に製造販売承認を取得し,2022年12月から消化器外科での保険適応が開始となった.当院では手術支援ロボットhinotoriを2023年10月に導入し,12月より直腸癌手術を開始し,2024年1月より結腸癌手術を開始した.現在まで結腸癌10例を含む25例のhinotoriによる大腸手術を経験した.その手術手技および短期成績について報告する.結腸右半切除術では内側アプローチを採用しており,後腹膜十二指腸剥離を行い,回結腸静脈・動脈切離,存在が確認できれば副右結腸静脈を切離,中結腸動脈右枝切離,さらに膵頭部剥離を進め,肝湾曲を内側より切離する.頭側での大網の切離はエナジーデバイスを助手が使用する.吻合は基本的には体腔内で行っており,横行結腸および小腸間膜を切離後,ICG血流確認,横行結腸および回腸を離断し,体腔内overlap吻合を行うことが多く,Entry holeの閉鎖はbarbed sutureで行うが,ロボットでは容易に可能である.当院ではda Vinci Surgical Systemの経験がないが,hinotoriの特徴であるドッキングフリーデザインは腹壁への侵襲が少なく,ポート周囲に広いスペースが確保できるため,助手が動きやすいが,手振れが感じられることがある.エナジーデバイスがないため助手にある程度の技量が必要である.ステープラーがないがfusion surgeryで可能である.左側結腸癌1例の手術時間は287分,コンソール時間は189分,右側結腸症例9例の手術時間は175~363分,コンソール時間は98~249分であった.術後合併症は認めていない.以上hinotoriを用いた結腸癌手術の手術手技やピットホールを提示する.