講演情報
[P2-2-1]90歳以上の超高齢者に対する大腸癌手術の成績
松村 卓樹, 小松 俊一郎, 深見 保之, 齊藤 卓也, 安藤 公隆, 大澤 高陽, 篠原 健太郎, 上田 翔, 内野 大倫, 國友 愛奈, 安井 講平, 金子 健一朗, 佐野 強 (愛知医科大学消化器外科)
背景:高齢化社会の進行に伴い,高齢者に対する癌の手術も増加傾向で,今や80代の手術は珍しくない.90歳以上の超高齢者において大腸癌が指摘されるケースも稀ではなく,手術の適応や術式選択に悩むことが多い.
対象・方法:当院において2015年1月から2023年2月までの間に施行した90代の大腸癌に対する手術症例の成績を後方視的に検討した.
結果:手術は21例に施行した.男性7例(33.3%),女性14例(66.7%).年齢中央値は90歳(90-95).上行結腸癌が9例,下行結腸癌が2例,直腸癌が10例.開腹手術が5例,腹腔鏡手術が14例,ロボット支援下手術が2例であった.術前のPS(Performance Status)は中央値1(0-3),ASAは2(1-3),術前心エコーを全例に施行し,EFの中央値は65%(60-74.7)と,ほとんどの症例で基礎疾患を認めたものの,ADLや心機能は保たれていた.腫瘍切除は16例に施行された,切除吻合を8例,人工肛門造設を8例に施行した.残り5例はバイパス術を施行した.手術時間の中央値は192分(33-341),出血量10ml(0-55),であり,術後在院日数の中央値は14日(8-121)であった.Grade2以上の合併症を5例認め,Grade3以上は内ヘルニアに対しヘルニア解除術を施行した1例のみであった.16例が自宅退院したが,5例は転院となった.5例の内訳は,1例は癌悪液質の進行でホスピス転院,1例はストマ管理目的で,2例は合併症による入院の長期化で体力低下のため,1例はアルツハイマー病の進行のため,自宅退院困難で施設に退院となった.術後フォローアップ期間の中央値は14カ月(0-81)で,4例は追跡不可となり,フォローができている17例中,死亡は7例,そのうち原病死5例,他病死は2例,9例は無再発生存中,1例は再発認めBSCで経過観察中である.
考察:90代の大腸癌症例でも,耐術能の評価と手術術式の選択を適切に行えば,許容できる手術成績と患者のQOL向上を望める一方,入院期間の延長が転院につながる可能性も高いため,合併症にはより注意が必要である.
対象・方法:当院において2015年1月から2023年2月までの間に施行した90代の大腸癌に対する手術症例の成績を後方視的に検討した.
結果:手術は21例に施行した.男性7例(33.3%),女性14例(66.7%).年齢中央値は90歳(90-95).上行結腸癌が9例,下行結腸癌が2例,直腸癌が10例.開腹手術が5例,腹腔鏡手術が14例,ロボット支援下手術が2例であった.術前のPS(Performance Status)は中央値1(0-3),ASAは2(1-3),術前心エコーを全例に施行し,EFの中央値は65%(60-74.7)と,ほとんどの症例で基礎疾患を認めたものの,ADLや心機能は保たれていた.腫瘍切除は16例に施行された,切除吻合を8例,人工肛門造設を8例に施行した.残り5例はバイパス術を施行した.手術時間の中央値は192分(33-341),出血量10ml(0-55),であり,術後在院日数の中央値は14日(8-121)であった.Grade2以上の合併症を5例認め,Grade3以上は内ヘルニアに対しヘルニア解除術を施行した1例のみであった.16例が自宅退院したが,5例は転院となった.5例の内訳は,1例は癌悪液質の進行でホスピス転院,1例はストマ管理目的で,2例は合併症による入院の長期化で体力低下のため,1例はアルツハイマー病の進行のため,自宅退院困難で施設に退院となった.術後フォローアップ期間の中央値は14カ月(0-81)で,4例は追跡不可となり,フォローができている17例中,死亡は7例,そのうち原病死5例,他病死は2例,9例は無再発生存中,1例は再発認めBSCで経過観察中である.
考察:90代の大腸癌症例でも,耐術能の評価と手術術式の選択を適切に行えば,許容できる手術成績と患者のQOL向上を望める一方,入院期間の延長が転院につながる可能性も高いため,合併症にはより注意が必要である.