講演情報

[PD3-8]腹腔鏡下/ロボット支援下結腸癌手術における体腔内吻合と体腔外吻合の短期・中期成績

夏目 壮一郎, 出嶋 皓, 中守 咲子, 加藤 博樹, 高雄 美里, 白鳥 広志, 中野 大輔, 川合 一茂 (がん・感染症センター都立駒込病院)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景】
 ロボット支援下結腸癌手術の普及に伴い体腔内吻合も広く行われるようになっている.体腔内吻合は腸管蠕動早期回復などのメリットの一方で,腹腔内汚染や播種のリスクが懸念されるが,腫瘍学的安全性を示す中長期成績の報告は未だ少ない.体腔内・体腔外吻合の短期・中期成績を比較検討した.
 【対象・方法】
 2019年1月から2023年9月までStage I-III初発結腸癌に対して鏡視下結腸切除術を施行した症例のうち,多発癌・DST吻合症例を除外した349例を対象とした.体腔内吻合群(IA群)と体腔外吻合群(EA群)を傾向スコアマッチング法にてマッチングし比較した.共変量は,年齢,性別,BMI,ASA-PS,腫瘍局在,cStageとした.
 【結果】
 IA群が87例,EA群が262例であり,マッチング後はそれぞれ69例であった.手術成績は,手術時間中央値(分)が227/148(p<0.001)とIA群で有意に長かった.出血量中央値(ml)が0/3(p<0.001)とIA郡で有意に少なく,術後初回排ガス日,術後初回排便日,術後在院日数のいずれもIA群で有意に短かった(すべてp<0.001).病理学的所見では,DM(cm)は11.5/8.9(p<0.001),PM(cm)は12.0/13.7(p=0.73),郭清リンパ節個数は22/26(p=0.11)でDMはIA群で長かった.術後合併症はClavien-Dindo分類Grade2以上が8(11.5%)/8(11.5%)(p=1.0)で両群に差を認めず,腹腔内感染は両群ともに1例であった.中期成績は,腹壁瘢痕ヘルニアの発生率がIA群で1例も認めず,一方でEA群は14.4%であった(p=0.0014).予後に関しては,DFS(3年DFS:93.6% vs 92.4%,p=0.815),OS(3年OS:100% vs 95.3%,p=0.19)ともに差を認めなかった.腹膜播種再発はIA群で1例認めたが術中所見で腹膜播種を認めpStage IVの症例であった.
 【結語】
 体腔内吻合は,腸管蠕動早期回復や在院日数の短縮,腹壁瘢痕ヘルニア減少に寄与する一方,腹腔内感染や播種再発の頻度は体腔外吻合と同等である.