講演情報
[P15-1-7]横行結腸に先進部がある上行結腸脂肪腫に対して腹腔鏡補助下で手術を施行した1例
丹羽 真佐夫, 大熊 祐輔, 河合 純兵, 水谷 千佳, 田中 秀治, 今井 健晴, 棚橋 利行, 八幡 和憲, 佐々木 義之, 奥村 直樹, 山田 誠 (岐阜市民病院)
症例は70歳代女性.既往歴は両側変形性股関節,両側鼠径ヘルニアに対してそれぞれ手術歴あり.既存症は高血圧症,脂質異常症.近医での腹部Xpで胆嚢結石症を指摘され,手術目的で当科紹介受診した.腹部は平坦,軟,圧痛を認めず,血液検査では明かな異常は認めなかった.腹部エコー検査で胆嚢内に多発結石を認め,横行結腸に45.5×43.0×31.8mm大の腫瘤を認めプローブによる圧痛を認めた.腹部・骨盤造影ダイナミックCT検査で胆嚢結石を認め,横行結腸内に36mm大の腫瘤を認め有茎性の脂肪腫が疑われた.下部消化管内視鏡検査でバウヒン弁上唇を基部とした有茎性の腫瘍を認めやはり脂肪腫が疑われた.以上から胆嚢結石症と上行結腸脂肪腫に対して待機的に手術の方針とした.手術はまず腹腔鏡下胆嚢摘出術から開始したが,臍部に12mmカメラ用ポート,心窩部5mmポートを留置後に,右傍腹直筋切開を想定しその上下端で5mmポートを2つ留置して4ポートとして通常通り胆嚢を摘出した.その後,右側ポートの創部をつなげ約6cmとして右傍腹直筋切開し開腹した.盲腸よりの上行結腸の腸間膜対側で腸管を一部切開し.内腔から横行結腸に先進していた腫瘍を腸管外に出して腫瘍を摘出し,切開した腸管を自動縫合器を用いて閉鎖した.手術時間1時間58分,出血量1mlだった.病理結果は胆嚢には慢性炎症のみの所見で悪性像はなく,上行結腸の腫瘍は脂肪腫の診断でこちらも悪性像はなかった.術後経過は良好で第10病日後に退院した.われわれは,胆嚢結石症と横行結腸に先進部がある上行結腸脂肪腫に対して,腹腔鏡補助下で低侵襲に手術を施行した1例を経験したため,文献的考察を加え報告する.