講演情報
[VPD1-7]III型・IV型痔瘻に対する肛門括約筋機能温存手術の工夫
岡本 康介, 彦坂 吉興, 松島 誠, 鈴木 和徳, 黒水 丈次, 宮島 伸宜, 國場 幸均, 下島 裕寛, 宋 江楓, 河野 洋一, 松村 奈緒美, 紅谷 鮎美, 小菅 経子, 鈴木 佳透, 松島 小百合, 酒井 悠, 米本 昇平, 佐井 佳世 (松島病院大腸肛門病センター)
III型・IV型痔瘻は難治性になり易い.手術の基本は,原発口,二次瘻管を含む感染巣の処理による根治性と肛門括約筋機能の温存の両立である.
瘻管の診断は主に経肛門的3D超音波検査で確認するが,IV型における挙筋を頭側に超え走行する部位は超音波検査では十分に確認できないためMRIで確認する.術中では深部で複雑に枝分かれする瘻管を見逃さないことが大切である.
術式で,原発口,原発巣,瘻管の処理方法はIII型,IV型で特に違いはない.主な術式は,二次瘻管側からと原発口側から瘻管,原発巣の切除後,括約筋を縫合閉鎖し直腸粘膜弁の被覆を行う術式(肛門括約筋縫合術),seton法,Hanley変法などのほか,II型の痔瘻根治術に行っていた肛門括約筋と肛門管上皮を温存するFPOT法(Function Preservative Operative Technique for fistula)をIII型痔瘻の標準術式に加え,SIFT-IS(subcutaneous incision of the fistula tract and internal sphincterotomy),そして最近は肛門管上皮を温存した上で肛門括約筋縫合術も行っている.
深部の瘻管内を掻爬後,遺残膿瘍の予防のために,瘻管に硝酸銀塗布,loose seton・ゴム管の留置,ヨードホルムガーゼの留置など,創の深さ・大きさなどによりドレナージ創の早期閉鎖を回避する工夫を行っている.
2015年1月から2020年12月のIII型・IV型痔瘻352例(初回手術例)の検討を行った.IIIU:213例,IIIB:133例,IV:6例であった.原発巣の処理方法は,肛門括約筋縫合190例,FPOT 105例,seton27例,SIFT-IS 12例,筋充塡10例,Hanley変法8例であった.術後合併症は112例(重複あり)あり,再開通50例(14.2%),創感染30例(8.5%),治癒遷延27例(7.7%),遺残瘻管1例(0.3%)であった.術後括約筋機能は術式により差はあるがMRPは低下する傾向を示し,治癒遷延,再発を来すと更に患者のQOLの低下や機能障害につながるため,的確な術式の選択そして術後管理が求められる.今回,当院での手術のビデオを含めて報告する.
瘻管の診断は主に経肛門的3D超音波検査で確認するが,IV型における挙筋を頭側に超え走行する部位は超音波検査では十分に確認できないためMRIで確認する.術中では深部で複雑に枝分かれする瘻管を見逃さないことが大切である.
術式で,原発口,原発巣,瘻管の処理方法はIII型,IV型で特に違いはない.主な術式は,二次瘻管側からと原発口側から瘻管,原発巣の切除後,括約筋を縫合閉鎖し直腸粘膜弁の被覆を行う術式(肛門括約筋縫合術),seton法,Hanley変法などのほか,II型の痔瘻根治術に行っていた肛門括約筋と肛門管上皮を温存するFPOT法(Function Preservative Operative Technique for fistula)をIII型痔瘻の標準術式に加え,SIFT-IS(subcutaneous incision of the fistula tract and internal sphincterotomy),そして最近は肛門管上皮を温存した上で肛門括約筋縫合術も行っている.
深部の瘻管内を掻爬後,遺残膿瘍の予防のために,瘻管に硝酸銀塗布,loose seton・ゴム管の留置,ヨードホルムガーゼの留置など,創の深さ・大きさなどによりドレナージ創の早期閉鎖を回避する工夫を行っている.
2015年1月から2020年12月のIII型・IV型痔瘻352例(初回手術例)の検討を行った.IIIU:213例,IIIB:133例,IV:6例であった.原発巣の処理方法は,肛門括約筋縫合190例,FPOT 105例,seton27例,SIFT-IS 12例,筋充塡10例,Hanley変法8例であった.術後合併症は112例(重複あり)あり,再開通50例(14.2%),創感染30例(8.5%),治癒遷延27例(7.7%),遺残瘻管1例(0.3%)であった.術後括約筋機能は術式により差はあるがMRPは低下する傾向を示し,治癒遷延,再発を来すと更に患者のQOLの低下や機能障害につながるため,的確な術式の選択そして術後管理が求められる.今回,当院での手術のビデオを含めて報告する.