講演情報
[O20-6]体腔内エコーを用いた安全で確実なD3郭清手技を伴う横行結腸癌手術の新たなアプローチ法
笠島 裕明, 福岡 達成, 小澤 慎太郎, 石舘 武三, 大森 威来, 丹田 秀樹, 福井 康裕, 米光 健, 関 由季, 黒田 顕慈, 三木 友一朗, 吉井 真美, 田村 達郎, 渋谷 雅常, 豊川 貴弘, 李 栄柱, 前田 清 (大阪公立大学大学院消化器外科)
横行結腸癌に対する鏡視下手術のアプローチは,施設によってさまざまである.手技が定型化されない理由の一つとしてMCA周囲の構造が立体的で郭清が困難であることが挙げられる.特に肥満症例ではMCA根部位置の認識が困難であり,D3郭清の過不足が生じやすい.当科では以前より右側結腸癌において術中体腔内エコー(intracorporeal ultrasound;IUS)を用いた安全なcomplete mesocolic excision(CME),Central vascular ligation(CVL)を報告してきた.横行結腸癌に対しても同様に,IUSを用いてリアルタイムに主要血管を同定し,安全で確実なD3郭清を行うことが可能であり,詳細な手術手技について報告する.
手術手技:頭側アプローチより開始する.網嚢を開放し膵及び十二指腸と肝結腸間膜を剥離,十二指腸下行脚を確認し,胃結腸静脈幹に流入する副右結腸静脈を切離する.さらに膵下縁レベルで上腸間膜静脈(SMV)を露出し横行結腸間膜前葉を切離しておく.続いて内側アプローチに移り,横行結腸間膜を頭側に展開した後にIUSを行う.まず上腸間膜動脈(SMA),SMVを同定,続いてSMAからの中結腸動脈(MCA)根部を描出しマーキングする.腹膜切開はMCA根部やや尾側で行い,SMVおよびMCA根部,SMAを露出し,SMA周囲神経叢外層いわゆるoutermost layerで#223リンパ節郭清を行う.造影CTによる三次元血管再構築画像に比べ,IUSは術野展開後にMCA根部を確認するため,分岐位置・角度・深さをリアルタイムで同定することが可能であり,安全かつ確実にMCA根部に到達できる利点があると考える.さらにロボット支援下手術では,TilePro機能により術者がプローベを走査し,血管を確認することができるため,より簡便に血管走行及び分岐位置の同定が可能となる.これらの手技を用いて,頭側アプローチを先行,横行結腸前葉の切離,ARCVの切離によって郭清頭側縁を明確にし,かつ膵や十二指腸の損傷リスクを最小限に抑え,安全かつ確実にCME,CVLを完遂できると考える.
今回,IUSを用いた腹腔鏡下横行結腸切除,D3郭清手技のビデオを供覧し,術式のポイントや定型化の工夫及び手術成績について報告させていただく.
手術手技:頭側アプローチより開始する.網嚢を開放し膵及び十二指腸と肝結腸間膜を剥離,十二指腸下行脚を確認し,胃結腸静脈幹に流入する副右結腸静脈を切離する.さらに膵下縁レベルで上腸間膜静脈(SMV)を露出し横行結腸間膜前葉を切離しておく.続いて内側アプローチに移り,横行結腸間膜を頭側に展開した後にIUSを行う.まず上腸間膜動脈(SMA),SMVを同定,続いてSMAからの中結腸動脈(MCA)根部を描出しマーキングする.腹膜切開はMCA根部やや尾側で行い,SMVおよびMCA根部,SMAを露出し,SMA周囲神経叢外層いわゆるoutermost layerで#223リンパ節郭清を行う.造影CTによる三次元血管再構築画像に比べ,IUSは術野展開後にMCA根部を確認するため,分岐位置・角度・深さをリアルタイムで同定することが可能であり,安全かつ確実にMCA根部に到達できる利点があると考える.さらにロボット支援下手術では,TilePro機能により術者がプローベを走査し,血管を確認することができるため,より簡便に血管走行及び分岐位置の同定が可能となる.これらの手技を用いて,頭側アプローチを先行,横行結腸前葉の切離,ARCVの切離によって郭清頭側縁を明確にし,かつ膵や十二指腸の損傷リスクを最小限に抑え,安全かつ確実にCME,CVLを完遂できると考える.
今回,IUSを用いた腹腔鏡下横行結腸切除,D3郭清手技のビデオを供覧し,術式のポイントや定型化の工夫及び手術成績について報告させていただく.