講演情報

[O6-6]当院における腹腔鏡下拡大右半切除の手技の工夫と治療成績

澤田 紘幸, 吉満 政義, 中野 敢友, 井谷 史嗣, 吉本 匡志, 真島 宏聡, 桂 佑貴, 石田 道拡, 佐藤 太祐, 吉田 龍一, 丁田 泰宏, 白川 靖博, 松川 啓義, 塩崎 滋弘 (広島市立広島市民病院)
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<背景>
結腸右半切除は,比較的多く行われる手技であるが十二指腸や膵臓など重要臓器損傷,上腸間膜動静脈を中心とした郭清など注意が必要である.2020年のNCDデータでは結腸右半切除の死亡率が2.2%と報告されており安全な手技が求められる.今回我々は,当院での腹腔鏡下拡大右半結腸切除の最近の手技と治療成績を提示する.
<手技>
腹腔鏡下拡大右半切除では内側アプローチ,頭側アプローチ,後腹膜先行アプローチが提唱されている.十二指腸や膵頭部などの重要臓器を剥離したのちに安全に郭清できることから当科では後腹膜先行アプローチを行っている.また3D-CTを駆使して術前に血管の走行をナビゲーションして安全に腹腔鏡下手術を行うように努めている.頭低位左側低位として小腸を頭側へ翻転させ盲腸の背側から後腹膜剥離を開始する.十二指腸,膵頭部を確認し剥離を終了する.頭高位へ変え小腸を尾側へ排除する.ICA/Vの尾側で小腸間膜を切開し後腹膜剥離層とつなげる.ICV根部の尾側でSMVを同定する.郭清はSMV左縁に沿う.十二指腸,膵頭部は背側へ剥離されており損傷のリスクは低い.ICA/Vを根部で処理したのちSMV左縁に沿って郭清を続けRCAがある場合は切離する.MCA根部処理はSMV左縁でMCAが立ち上がる部で行う.そのままMCVを根部で処理する.MCVを処理したのちGCTを明らかにする.ASPDV,RGEVを温存してARCVを切離すし郭清を終了する.頭側,尾側から右側結腸受動し体外で腸間膜切離,吻合を行う.
<症例>2019年1月から2023年12月までに当院で腹腔鏡下拡大結腸右半切除を行った17例
<結果>腫瘍部位A/T;4/13,年齢中央値74(53-90),性別M/F,10/7,cStage1/2/3/4;0/11/5/1,ASA score 1/2/3;1/14/2,手術時間中央値304min(181-462),出血量中央値30ml(0-440),開腹移行 有/無;3/14,fStage1/2/3/4;1/11/4/,術後合併症 有/無 5/13(いずれもClavien-Dindo分類 Grade2以下 表層SSI Grade1が3例,イレウス Grade2が2例)術後在院日数中央値9日(6-20日)
<結語>術前の画像評価や手技の定型化で安全な腹腔鏡下拡大右半結腸切除が可能である.