講演情報

[P5-1-2]小規模病院における急性虫垂炎に対するInterval appendectomyの有用性の検討

松永 篤志, 山下 真幸, 相川 佳子, 尾田 典隆, 新井 賢一郎, 野中 雅彦, 木村 浩三, 川上 和彦, 中井 勝彦, 松田 聡 (松田病院)
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【背景】
近年,急性虫垂炎に対する待機的虫垂切除術(Interval appendectomy:以下IA)の概念が提唱され,周術期の合併症リスク軽減を目的として普及してきている.一般病床60床の当院においてもIAを導入しており,緊急虫垂切除術(Emergency appendectomy:以下EA)との手術成績を比較しIAの有用性を検討した.
【対象と方法】
2017年1月から2024年4月までに当院で施行した急性虫垂炎手術症例43例を対象とし,IA群21例とEA群22例に分け検討を行った.
【結果】
IA群の保存加療から手術までの日数は87.5日であり抗生剤の使用日数は7日間であった.いずれも腹腔鏡下虫垂切除術が完遂出来ており,手術時間は46.5分,術後在院日数は4日であった.術後合併症は創感染1例(4.8%),遺残膿瘍1例(4.8%)を認めたがいずれも保存加療にて改善した.膿瘍形成性虫垂炎症例は虫垂炎全症例中16例に認めたがIAに移行できた3例(19%)には合併症は認めなかった.EA群の術式の内訳は腹腔鏡下虫垂切除術が18例(82%),開腹虫垂切除術が2例(9%),腹腔鏡下洗浄ドレナージのみで終わった症例が1例(4.5%),広範囲の炎症波及のため開腹回盲部切除術と直腸高位前方切除術を同時に施行した症例が1例(4.5%)であった.手術時間は81.5分,術後在院日数は7日であった.術後合併症はいずれも膿瘍形成性虫垂炎症例であり,麻痺性イレウス3例(14%),再手術を要した遺残膿瘍1例(4.5%)であった.
【結語】
急性虫垂炎に対するIAはEAに比べて腹腔鏡で安全に施行可能である.当院ではCTガイド下ドレナージなどの処置が実施できる体制ではなく,保存加療継続のリスクが高いと早い判断で緊急手術に移行する傾向にあるが,今後は症例を選んでIAの適応拡大を目指していきたい.