講演情報
[SR6-2]右側閉塞性大腸癌の治療成績
大畠 将義, 岩川 陽介, 沖川 昌平, 髙田 厚史, 渡部 美弥, 松野 祐介, 發知 将規, 古手川 洋志, 吉山 広嗣, 八木 草彦, 大谷 広美 (愛媛県立中央病院)
[背景]当院では,Bridge to surgery(BTS)を目的に大腸ステントを積極的に使用している.これまで緊急手術が選択されることが多かった右側閉塞性大腸癌においても,大腸ステントの有用性が報告されているが,減圧方法についてのエビデンスはまだ少ない.
[目的と方法]当院における,右側閉塞性大腸癌(盲腸癌~横行結腸癌)に対するBTSの治療成績を検討した.2012年4月から2022年12月に,原発切除を行った右側閉塞性大腸癌95例を対象とした.BTSを行ったのは82例で,ステントを留置した群(以下S群)と経鼻イレウス管を留置した群(以下T群)の2群に分け,短期・長期成績を比較検討した.長期成績に関してはstageII,IIIの53例を対象とした.
[結果]S群,T群は各41例ずつ.S群とT群を比較すると,年齢中央値は72歳と79歳(p=0.01),原発部位(C/A/T)は0/10/31例と17/21/3例.減圧治療による技術的成功率は97.6%と100%,臨床的成功率は97.6%と80.5%,食事開始可能症例は40例と0例,減圧後の退院は35例と0例であった.S群,T群でそれぞれ1例遅発性の穿孔を認めた.減圧から手術までの日数は22日と8日(p<0.01)であった.術式(ICR/RHC/T/LHC)は1/23/11/6例と26/15/0/0例で,低侵襲手術施行率は85.4%,78.0%.手術時間は207分と185分,出血量は5.0mlと0mlであった.S群で全身状態不良な1例は原発切除し,吻合は行わず人工肛門造設行っているが,それ以外に人工肛門造設した症例はなかった.術後C-D3以上の合併症は,S群で4例,T群で3例認め,うち縫合不全は1例と3例であった.術後在院日数はS群7日,T群8日(p=0.015)と有意にS群で短かった.
長期成績において,観察期間中央値は867日で,5年無再発生存率はS群 45.5%,T群 55.7%(p=0.843),5年全生存率は54.2%と75.7%(p=0.408),5年疾患特異的生存率は69.3%と75.7%(p=0.456)と両群で有意差を認めなかった.
[結語]右側閉塞性大腸癌に対する短期成績ではステント留置群で術後在院日数が短く,長期成績に関しては減圧方法での有意な差は認めなかった.大腸ステントは処置後食事摂取可能となり,経鼻イレウス菅挿入による患者苦痛を軽減する.また臨時手術の回避により医師の働き方改革の観点からも有用である可能性がある.
[目的と方法]当院における,右側閉塞性大腸癌(盲腸癌~横行結腸癌)に対するBTSの治療成績を検討した.2012年4月から2022年12月に,原発切除を行った右側閉塞性大腸癌95例を対象とした.BTSを行ったのは82例で,ステントを留置した群(以下S群)と経鼻イレウス管を留置した群(以下T群)の2群に分け,短期・長期成績を比較検討した.長期成績に関してはstageII,IIIの53例を対象とした.
[結果]S群,T群は各41例ずつ.S群とT群を比較すると,年齢中央値は72歳と79歳(p=0.01),原発部位(C/A/T)は0/10/31例と17/21/3例.減圧治療による技術的成功率は97.6%と100%,臨床的成功率は97.6%と80.5%,食事開始可能症例は40例と0例,減圧後の退院は35例と0例であった.S群,T群でそれぞれ1例遅発性の穿孔を認めた.減圧から手術までの日数は22日と8日(p<0.01)であった.術式(ICR/RHC/T/LHC)は1/23/11/6例と26/15/0/0例で,低侵襲手術施行率は85.4%,78.0%.手術時間は207分と185分,出血量は5.0mlと0mlであった.S群で全身状態不良な1例は原発切除し,吻合は行わず人工肛門造設行っているが,それ以外に人工肛門造設した症例はなかった.術後C-D3以上の合併症は,S群で4例,T群で3例認め,うち縫合不全は1例と3例であった.術後在院日数はS群7日,T群8日(p=0.015)と有意にS群で短かった.
長期成績において,観察期間中央値は867日で,5年無再発生存率はS群 45.5%,T群 55.7%(p=0.843),5年全生存率は54.2%と75.7%(p=0.408),5年疾患特異的生存率は69.3%と75.7%(p=0.456)と両群で有意差を認めなかった.
[結語]右側閉塞性大腸癌に対する短期成績ではステント留置群で術後在院日数が短く,長期成績に関しては減圧方法での有意な差は認めなかった.大腸ステントは処置後食事摂取可能となり,経鼻イレウス菅挿入による患者苦痛を軽減する.また臨時手術の回避により医師の働き方改革の観点からも有用である可能性がある.