講演情報
[P2-2-2]当院における超高齢者大腸癌手術症例の検討
日月 亜紀子, 内藤 信裕, 南原 幹男, 亀谷 直樹, 平川 俊基, 西村 重彦, 山田 靖哉, 妙中 直之 (住友病院消化器外科)
人口の高齢化に伴い高齢者大腸癌症例も増加している.今回我々は,当院で経験した90歳以上の超高齢者大腸癌手術症例について検討した.2018年1月から2023年12月に大腸癌切除を行った326例を対象とした.90歳以上の症例は9例 2.8%.90歳以上の群(超高齢者群)と90歳未満の群(非高齢者群)で,比較検討した.年齢中央値は,高齢者群91歳 非高齢者群73歳.両群間の比較では,性別,BMI,進行度,腫瘍の大きさには有意差を認めなかったが,腫瘍占拠部位では,超高齢者群では右側結腸のみであった.併存症の比較では,糖尿病,高血圧,心疾患について検討したが両群間に有意差は認めなかった.抗凝固剤の服用についても有意差は認めなかった.alb Hbの比較では,超高齢者群で有意に低いという結果であった.ASAは両群間に有意差は認めなかった.手術アプローチについても,有意差は認めなかった.手術時間中央値は,超高齢者群128分,非高齢者群214分で有意に超高齢者群で短かったが,腫瘍占拠部位に差を認めた影響と思われた.リンパ節郭清度,郭清リンパ節数,出血量では,有意差は認めなかった.Clavien-Dindo IIIa以上の術後合併症は,超高齢者群ではイレウス1例を認めたのみで,非高齢者群では27例(10.6%)であった.術後在院日数中央値は,超高齢者群14日 非高齢者群13日で有意差は認めなかった.退院先は,超高齢者群で1例のみ施設退院,非高齢者群で,7例が転院,2例が施設退院であった.再発については,超高齢者群3例(33.3%),非高齢者群44例(13.9%)で有意差は認めなかった.今回の検討では,超高齢者と非高齢者とのは背景の比較では,alb Hbで有意差を認めるのみであった.耐術能の評価を慎重に行う必要はあると考えるが,今回の検討では,合併症の発生率や術後在院日数に有意差なく,90歳以上の超高齢者であっても,耐術が可能と判断された症例では,大腸癌切除術は安全に行うことは可能と考えられた.