講演情報
[PD8-11]大腸癌腹膜播種切除の治療成績と術中洗浄細胞診の意義
大平 学, 栃木 透, 丸山 哲郎, 岡田 晃一郎, 平田 篤志, 丸山 通広, 松原 久裕 (千葉大学大学院医学研究院先端応用外科)
【背景と目的】
大腸癌腹膜播種の切除はNCCNガイドラインでは推奨されていないが,本邦のガイドラインでは同時性の播種に関してのみ過大侵襲にならなければ原発巣との同時切除が強く推奨されている.教室でもR0切除に周術期化学療法を行うことで治癒も含めた良好な治療成績が期待できることを報告してきた.また,播種があるにも関わらず術中洗浄細胞診が陰性の症例が少なからずあり,陰性の症例の方が陽性例より予後良好な傾向があることも報告してきた.今回は症例を集積して再検討した結果を報告する.
【対象と方法】
2001年4月から2023年12月まで当科で大腸癌腹膜播種に対してRO切除術を施行した症例を対象として,治療成績と術中洗浄細胞診の意義を検討した.術中洗浄細胞診は開腹して簡単な癒着剥離を行った後に主に下腹部から1か所のみ採取した.
【結果】
対象期間にR0切除を行った症例は79例あり,同時性37例,異時性42例で,延べ100回の播種R0切除が行われた.24例(30.4%)に播種外の転移を認めた.MSTは49.2か月で5年OSは46.3%であった.多変量解析でCA19-9高値,術後補助化学療法非施行,同時性播種が独立した予後不良因子として抽出された.洗浄細胞診陽性は多変量解析では残らなかったが,単変量解析で有意に予後不良であった(P=0.0074).RFS中央値は13.2か月で,3年RFSは15.7%であった.同様に多変量解析を行ったところ,術後補助化学療法非施行のみが独立した因子として抽出された.術中洗浄細胞診陽性はOS同様多変量では残らなかったが単変量でRFSが短い傾向があった(P=0.0786).
【結語】
切除後補助化学療法非施行例は高率に再発し,予後も不良であった.それに加えも同時性播種,CA19-9高値も独立した予後不良因子であった.術中洗浄細胞診陽性例は予後不良である可能性がある.リキッドバイオプシーが臨床現場で簡便に施行できるようになるまでのバイオマーカーとして有用な可能性がある.
大腸癌腹膜播種の切除はNCCNガイドラインでは推奨されていないが,本邦のガイドラインでは同時性の播種に関してのみ過大侵襲にならなければ原発巣との同時切除が強く推奨されている.教室でもR0切除に周術期化学療法を行うことで治癒も含めた良好な治療成績が期待できることを報告してきた.また,播種があるにも関わらず術中洗浄細胞診が陰性の症例が少なからずあり,陰性の症例の方が陽性例より予後良好な傾向があることも報告してきた.今回は症例を集積して再検討した結果を報告する.
【対象と方法】
2001年4月から2023年12月まで当科で大腸癌腹膜播種に対してRO切除術を施行した症例を対象として,治療成績と術中洗浄細胞診の意義を検討した.術中洗浄細胞診は開腹して簡単な癒着剥離を行った後に主に下腹部から1か所のみ採取した.
【結果】
対象期間にR0切除を行った症例は79例あり,同時性37例,異時性42例で,延べ100回の播種R0切除が行われた.24例(30.4%)に播種外の転移を認めた.MSTは49.2か月で5年OSは46.3%であった.多変量解析でCA19-9高値,術後補助化学療法非施行,同時性播種が独立した予後不良因子として抽出された.洗浄細胞診陽性は多変量解析では残らなかったが,単変量解析で有意に予後不良であった(P=0.0074).RFS中央値は13.2か月で,3年RFSは15.7%であった.同様に多変量解析を行ったところ,術後補助化学療法非施行のみが独立した因子として抽出された.術中洗浄細胞診陽性はOS同様多変量では残らなかったが単変量でRFSが短い傾向があった(P=0.0786).
【結語】
切除後補助化学療法非施行例は高率に再発し,予後も不良であった.それに加えも同時性播種,CA19-9高値も独立した予後不良因子であった.術中洗浄細胞診陽性例は予後不良である可能性がある.リキッドバイオプシーが臨床現場で簡便に施行できるようになるまでのバイオマーカーとして有用な可能性がある.