講演情報

[O1-5]直腸癌局所再発の手術治療成績と,適応拡大に向けた新しい取り組み

竹田 充伸1, 植村 守1, 楠 誓子1, 大崎 真央1, 関戸 悠紀1, 波多 豪1, 浜部 敦史1, 荻野 崇之1, 三吉 範克1, 加藤 健志2, 土岐 祐一郎1, 江口 英利1 (1.大阪大学大学院医学系研究科消化器外科, 2.大阪医療センター消化器外科)
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【背景】
直腸癌術後の局所再発率は手術手技の向上や集学的治療の進歩にも関わらず5-10%に達する.局所再発直腸癌の最重要予後因子はR0切除であるが,高い侵襲性や再々発のリスクのため患者の病態や治療目標に応じて,適切な治療戦略の選択が求められる.
特に総腸骨動脈浸潤を認める直腸癌術後局所再発(LRRC)症例は従来手術適応から除外していたが,2020年からは血管バイパス手術(F-Fバイパス術(大腿動脈-大腿動脈))を行い,外科治療を積極的に取り入れている.
【目的と対象】
当科では2012年以降LRRCに対して腹腔鏡手術,さらに2022年以降はロボット手術を導入してきた.2000年以降,315例のLRRCに対して手術を施行し,R0切除率は83.6%,術後5年局所無再発生存率は59.7%と良好な成績を認めている.2020年以降,手術適応を拡げ,総腸骨動脈(外腸骨動脈を含む)に浸潤するLRRCに対して,F-Fバイパス後に血管を合併切除した症例は現在までに4例認めた.本発表ではこれらの治療成績に関して検討し,手術動画を用いて手術手技や治療計画のポイントやピットフォールを解説する.
【結果】
全症例に術前CRTを施行し,手術アプローチは開腹手術1件,腹腔鏡手術3件であった.血行再建は全例術前に2期的(5-14日前)に行った.手術時間中央値は449分(223-579),出血量中央値は130ml(20-1025)であった.術後合併症は全例認めなかった.R0切除率は100%であり,現在まで全例無再発生存中(観察期間4ヶ月―4年6ヶ月)である.
【考察・結論】
適切な治療戦略に基づくLRRC(総腸骨動脈浸潤)に対する血行再建先行による術後再発切除は有用な治療選択肢の一つであると考えられた.