講演情報
[O9-2]下部直腸癌におけるtaTMEの腫瘍学的成績
鏡 哲, 三浦 康之, 吉田 公彦, 甲田 貴丸, 鈴木 孝之, 金子 暁奉, 牛込 充則, 栗原 聰元, 船橋 公彦 (東邦大学医療センター大森病院一般・消化器外科)
【はじめに】下部直腸手術において,狭骨盤や高body mass index(BMI),骨盤腔を占めるbulkyな腫瘍,前立腺肥大症などの患者においては,従来の腹腔側からのアプローチではTMEや安全な外科的切除線の確保に難渋する場合がある.経肛門操作を先行しTMEを行う経肛門的全直腸間膜切除(taTME)は,確実なCRM確保を行う点や,神経温存の点からも大きな利点が期待できる.われわれは,2005年より下部直腸癌に対し経肛門操作を先行しTMEを行ってきた.導入当初は経肛門操作を直視下に行ってきたが(TARD:Tarnsanal rectal dissection),2014年頃より経肛門操作を鏡視下で行うtaTMEを導入した.今回,当科におけるtaTMEの手術成績について報告する.
【対象】2014年1月から2023年9月までに当院で行ったtaTME症例100例について後方視的に検討を行った.当科では肛門操作先行でone-teamにて手術を行ない,全例に一時的回腸人工肛門造設を行っている.
【結果】男性78例,女性22例,年齢中央値は66歳(36-86歳),BMI中央値は23.2(15-41.8)であった.24例に術前治療(放射線化学療法11例,化学療法13例)が行われており,術式はsLAR:77例,ISR:22例,APR:1例であった.手術時間中央値は474分(309-906分),出血量中央値は70ml(0-1039ml)であった.術中尿道損傷や血管損傷は認めなかった.C-DIII以上の術後合併症を15例(15%)で認めた.術後排尿障害は11例(11%)に認め,そのうち自己導尿を必要とする高度の排尿障害は1例であった.病理学的にはDM中央値が15.5mm(0.5-85mm),f-stage0/I/II/III/IV/pCR/NET/GIST=0/44/27/24/1/1/2/1で,全例RM陰性であった.stageIVを除いた99例のうち再発を18例で認め,再発期間中央値は19か月(5-34か月)であった.局所再発は4例で認めた.
【結語】taTMEは腫瘍学的に許容される結果であると考えられ,下部直腸症例に対し有効なアプローチと考えられる.
【対象】2014年1月から2023年9月までに当院で行ったtaTME症例100例について後方視的に検討を行った.当科では肛門操作先行でone-teamにて手術を行ない,全例に一時的回腸人工肛門造設を行っている.
【結果】男性78例,女性22例,年齢中央値は66歳(36-86歳),BMI中央値は23.2(15-41.8)であった.24例に術前治療(放射線化学療法11例,化学療法13例)が行われており,術式はsLAR:77例,ISR:22例,APR:1例であった.手術時間中央値は474分(309-906分),出血量中央値は70ml(0-1039ml)であった.術中尿道損傷や血管損傷は認めなかった.C-DIII以上の術後合併症を15例(15%)で認めた.術後排尿障害は11例(11%)に認め,そのうち自己導尿を必要とする高度の排尿障害は1例であった.病理学的にはDM中央値が15.5mm(0.5-85mm),f-stage0/I/II/III/IV/pCR/NET/GIST=0/44/27/24/1/1/2/1で,全例RM陰性であった.stageIVを除いた99例のうち再発を18例で認め,再発期間中央値は19か月(5-34か月)であった.局所再発は4例で認めた.
【結語】taTMEは腫瘍学的に許容される結果であると考えられ,下部直腸症例に対し有効なアプローチと考えられる.