講演情報

[P5-1-1]急性虫垂炎に対する急性期虫垂切除術までの待機時間による予後の検討

深田 唯史, 團野 克樹, 武田 和, 山本 慧, 東口 公哉, 野口 幸蔵, 高畠 弘幸, 吉村 美緒, 豊田 泰弘, 中根 茂, 平尾 隆文, 岡 義雄, 関本 貢嗣 (箕面市立病院外科)
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【はじめに】急性虫垂炎において虫垂切除術は標準的な治療法だが,急性虫垂炎手術の緊急性については標準的なコンセンサスは存在しておらず,遅滞なく手術する場合から24時間以内に手術する場合までさまざまである.待機時間が長くなることで穿孔性虫垂炎や腹膜炎の発症リスクが高くなることが心配される一方で,単純性虫垂炎であれば24時間以内に手術を実施することで穿孔性虫垂炎発症のリスクは変わらないなどの報告も見受けられる.そこで今回当院における急性虫垂炎患者を対象に来院時から手術に至るまでの待機時間による予後の変化について検討することした.
 【対象/方法】
 2020年1月1日から2020年12月31日までに当院で手術を施行した急性虫垂炎患者62例を対象とし患者背景,術式,術後在院日数を後方視的に評価した.手術までの待機時間については8時間までに手術した症例(A群)と8時間以降に手術した症例(B群)の2群に分けて検討を行った.
 【結果】
 平均年齢49歳,男性34人,女性28人,平均BMI 23.単純性虫垂炎が41例,複雑性虫垂炎が21例.開腹手術が4例,腹腔鏡手術が58例.来院時から8時間以内に手術した症例が35例,8時間以降に手術した症例27例だった.平均術後在院日数は全体で6.7日,A群で8.2日,B群で4.8日だった.単純性虫垂炎症例では全体では4.8日,A群5.4日,B群4.4日だった.複雑性虫垂炎症例のうち腹腔鏡下虫垂切除術を施行した症例では全体で10.5日,A群で12日,B群で7.7日だった.
 【まとめ】
 どの分類においても術後在院日数はA群よりB群が長い結果となり,来院後早期に手術をすることが術後在院日数の短縮には寄与していない可能性が示唆された.