講演情報
[O22-4]導入後2年で考えるロボット支援下手術の有利な点・注意すべき盲点
有田 智洋, 清水 浩紀, 木内 純, 名西 健二 (京都府立医科大学消化器外科)
【背景】2022年4月より結腸癌に対するロボット支援手術が保険適応となり,当教室においても結腸癌に対するロボット支援手術を導入した.これまでの短期治療成績を供覧し,術中に遭遇したロボット手術特有の盲点について考察する.
【対象】2022年6月から2024年4月に結腸癌患者に対しロボット支援手術を施行した41例.
【結果】術者はロボット直腸プロクターの3人.男性17人,女性24人.平均年齢は73.4歳,BMIは22.6,cStageは0/I/II/III/IV:1/18/6/14/2.術式はICR/RHC/T/S:24/7/4/6.出血は平均31.0g,コンソール時間は平均115分.術後入院期間の中央値は8日でCD分類Grade2以上の術後合併症は肝機能障害7例,貧血1例,吻合部出血1例,尿閉1例.
【ロボット手術ならではの注意点】SMA/V周囲のリンパ節郭清においては,微細な作業を得意とする関節機能や手ブレ補正機能は有効であると感じる.また,ToldtやFredetといった細かい癒合膜構造の把持牽引に優れ,剥離層の選択と繊細な展開において有利である.一方で,腹腔鏡下手術ではあまり意識していなかった,強力な牽引を発揮するロボットならではの出血や術野展開の盲点もいくつか経験した.ASPDVや膵周囲の細血管,GCTに強い牽引力が働くため,腹腔鏡よりも十分に膵臓を背側に授動し,GCT周囲の作業は細心の注意を払う必要がある.ICA/Vの右側への牽引は,SMAが腹腔鏡よりもかなり右側まで牽引されるため,ICA処理時には注意が必要である.また,左側結腸手術においてIMV背側で下行結腸の授動を行う際にはIMVの過剰な牽引に注意が必要である.これらの強力な牽引力に起因する出血性偶発症については,これまで腹腔鏡下手術やロボット直腸手術をある程度経験してきた術者でも特に注意が必要であると思われた.本発表においては,動画を用いて教室で定型化した右側結腸癌手術の手術手技を供覧し,腹腔鏡下手術動画と比較しながら実際に術中に経験したロボット手術が有利な点,注意すべき盲点について考察する.
【対象】2022年6月から2024年4月に結腸癌患者に対しロボット支援手術を施行した41例.
【結果】術者はロボット直腸プロクターの3人.男性17人,女性24人.平均年齢は73.4歳,BMIは22.6,cStageは0/I/II/III/IV:1/18/6/14/2.術式はICR/RHC/T/S:24/7/4/6.出血は平均31.0g,コンソール時間は平均115分.術後入院期間の中央値は8日でCD分類Grade2以上の術後合併症は肝機能障害7例,貧血1例,吻合部出血1例,尿閉1例.
【ロボット手術ならではの注意点】SMA/V周囲のリンパ節郭清においては,微細な作業を得意とする関節機能や手ブレ補正機能は有効であると感じる.また,ToldtやFredetといった細かい癒合膜構造の把持牽引に優れ,剥離層の選択と繊細な展開において有利である.一方で,腹腔鏡下手術ではあまり意識していなかった,強力な牽引を発揮するロボットならではの出血や術野展開の盲点もいくつか経験した.ASPDVや膵周囲の細血管,GCTに強い牽引力が働くため,腹腔鏡よりも十分に膵臓を背側に授動し,GCT周囲の作業は細心の注意を払う必要がある.ICA/Vの右側への牽引は,SMAが腹腔鏡よりもかなり右側まで牽引されるため,ICA処理時には注意が必要である.また,左側結腸手術においてIMV背側で下行結腸の授動を行う際にはIMVの過剰な牽引に注意が必要である.これらの強力な牽引力に起因する出血性偶発症については,これまで腹腔鏡下手術やロボット直腸手術をある程度経験してきた術者でも特に注意が必要であると思われた.本発表においては,動画を用いて教室で定型化した右側結腸癌手術の手術手技を供覧し,腹腔鏡下手術動画と比較しながら実際に術中に経験したロボット手術が有利な点,注意すべき盲点について考察する.