講演情報
[P23-2-1]オリーブ油浣腸が有用であった便塞栓の1例
黒田 昂宏, 姜 建宇, 朝倉 崇裕, 関森 健一, 西山 元啓, 東 正樹, 岡本 和哉, 前間 篤, 神谷 欣志, 中村 利夫 (藤枝市立総合病院外科)
高齢者は直腸の感覚が低下しておりさらにADL低下例では腹圧も低下する為,著しい便秘症に直腸の便塞栓を伴うことがある.このような症例に対しオリーブ油浣腸を行い良好な結果を得たので報告する.
74歳女性.気管支拡張症に対して在宅酸素療法導入中であり,要介護3で施設入所中であった.10日間の便秘と腹部膨満を主訴に当院救急外来を受診された.来院時腹部に圧痛はないものの高度膨満を認めた.また受診8ヶ月前に他院で大腸内視鏡検査を施行されており,有意病変は認めていなかった.CTでは大腸全域に高度の便塊貯留と小腸にまで至る腸管の拡張を認めた.直腸の便塞栓と診断したが腸蠕動を促進する薬剤は穿孔リスクもある為危険と判断しオリーブ油浣腸による加療の方針とした.元来酸化マグネシウム錠330mg3錠分3,ルビプロストン24μg1カプセル分1を内服,また入院2日前よりエロビキシバット錠5mg2錠分2を追加で内服されていた.入院後元来の内服は継続とし,消化態栄養剤を摂取し経過を見た.摘便を行うと少量の硬便の排泄を認めたが,その後は自然排便を認めなかった為入院3日目よりオリーブ油浣腸を開始した.医療用オリーブ油50mlを,ネラトンカテーテルを用いて1日1回浣腸し経過を見たところ開始2日目に硬便の排泄を認め,3,5日目にはバナナ大の硬便を認めた.オリーブ油浣腸は計5日間施行し終了,その後は内服調整を行い退院した.
高度の便秘症,便塞栓は内服調整のみでは便通調整が困難なことも多い.摘便やグリセリン浣腸も存在するが,疼痛を誘発しやすく,また腸管穿孔のリスクもある.オリーブ油浣腸は1回30~100mlを1日1回,便通が改善するまで投与することで効果が得られると言われている.刺激が少なく腹痛も誘発しないため安全であり,本症例のようなADL低下例で特に有用である.また安価でもあり汎用性も高いと考えられる.本症例を元に便秘症に対するオリーブ油浣腸療法について文献的考察を加えて報告する.
74歳女性.気管支拡張症に対して在宅酸素療法導入中であり,要介護3で施設入所中であった.10日間の便秘と腹部膨満を主訴に当院救急外来を受診された.来院時腹部に圧痛はないものの高度膨満を認めた.また受診8ヶ月前に他院で大腸内視鏡検査を施行されており,有意病変は認めていなかった.CTでは大腸全域に高度の便塊貯留と小腸にまで至る腸管の拡張を認めた.直腸の便塞栓と診断したが腸蠕動を促進する薬剤は穿孔リスクもある為危険と判断しオリーブ油浣腸による加療の方針とした.元来酸化マグネシウム錠330mg3錠分3,ルビプロストン24μg1カプセル分1を内服,また入院2日前よりエロビキシバット錠5mg2錠分2を追加で内服されていた.入院後元来の内服は継続とし,消化態栄養剤を摂取し経過を見た.摘便を行うと少量の硬便の排泄を認めたが,その後は自然排便を認めなかった為入院3日目よりオリーブ油浣腸を開始した.医療用オリーブ油50mlを,ネラトンカテーテルを用いて1日1回浣腸し経過を見たところ開始2日目に硬便の排泄を認め,3,5日目にはバナナ大の硬便を認めた.オリーブ油浣腸は計5日間施行し終了,その後は内服調整を行い退院した.
高度の便秘症,便塞栓は内服調整のみでは便通調整が困難なことも多い.摘便やグリセリン浣腸も存在するが,疼痛を誘発しやすく,また腸管穿孔のリスクもある.オリーブ油浣腸は1回30~100mlを1日1回,便通が改善するまで投与することで効果が得られると言われている.刺激が少なく腹痛も誘発しないため安全であり,本症例のようなADL低下例で特に有用である.また安価でもあり汎用性も高いと考えられる.本症例を元に便秘症に対するオリーブ油浣腸療法について文献的考察を加えて報告する.