講演情報
[P22-2-6]当科における肛門管腺癌9例の検討
佐々木 大祐1, 牧角 良二1, 西澤 一1, 浜辺 太郎1, 福岡 麻子1, 内藤 正規2, 四万村 司3, 大坪 毅人1 (1.聖マリアンナ医科大学病院消化器・一般外科, 2.聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器・一般外科, 3.川崎市立多摩病院消化器・一般外科)
【目的】肛門管腺癌は症例数が少なく,大腸癌取扱規約第9版では,肛門管癌の進行度分類が定義されたが,治療方針については一定のコンセンサスはない.そこで本研究では当院における肛門管腺癌の臨床病理学的特徴及び治療成績を検討し,その特徴について明らかにすることを目的とした.【対象】2014年1月から2023年12月までの10年間に当科で肛門管腺癌と診断され,原発巣切除された9例.【結果】患者背景は年齢:69歳(31-89歳)性別:男性7例,女性2例,ASA-PS;1:1例,2:7例,3:1例であった.術前治療が行われたのは9例中4例(44%)(化学療法:2例,化学放射線療法:2例)であった.術式は局所切除術:1例(経肛門),直腸切断術:8例(開腹:1例,腹腔鏡:7例)であった.側方リンパ節郭清は4例(44%)(そのうち1例は片側鼠径リンパ節郭清を併施)で施行された.他臓器合併切除は9例中2例(22%)で行われた(切除臓器:膣,尾骨).手術時間は407分(115-742分),出血量は488ml(60-1008ml),術後合併症を4例(44%)に認めたが,Clvien-Dindo分類IIIb以上の合併症は認めなかった.術後在院日数は20日(13-46日)であった.病理組織学的所見として術前化学療法によるpCR1例除く8例で深達度はMP:2例,A:5例,AI(膣):1例であった.組織型はtub:7例,muc:2例,最大腫瘍径は50mm(0-80mm),リンパ節転移はNx:1例,N0:5例,N1a:1例,N1b:1例,N2b:1例であった.病期はStage0:1例,StageI:2例,StageIIA:2例,StageIIB:1例,StageIIIB:1例,StageIIIC:1例,StageIVA:1例であった.術後補助化学療法は6例(67%)に施行された.術後観察期間は33ヶ月(5-117ヶ月)であり,再発2例(22%),癌死1例(11%)であった.【結語】当院での肛門管腺癌に対する臨床病理学的特徴を検討した.治療成績は比較的良好と考えられたが症例数が少なくさらなる症例の蓄積が必要である.