講演情報
[O6-2]結腸癌に対する自動縫合器のみで完結するSutureless overlap法による体腔内吻合の治療成績
浜部 敦史, 井上 卓哉, 竹田 充伸, 関戸 悠紀, 波多 豪, 荻野 崇之, 三吉 範克, 植村 守, 土岐 祐一郎, 江口 英利 (大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学)
【背景】
結腸癌に対する体腔内吻合においてOverlap法は,腸間膜対側で腸管に平行に広い吻合部を作成可能で,肥満症例でも困難ではない等のメリットが挙げられる一方,挿入孔閉鎖のために縫合操作を行う必要があるため煩雑で時間を要する.腫瘍学的観点からも,消化管の断端閉鎖を速やかに完了することは望ましい.Overlap法の課題を解決すべく,我々は縫合閉鎖を要さず自動縫合器のみで完結するSutureless overlap法を確立し実践している.本発表では手技の実際と治療成績を示す.
【方法】
当科にて体腔内吻合を2021年3月~2024年3月に実施した73例(他臨床試験登録症例は除外)を対象とした.当科では,Delta法,手縫いを伴うStandard overlap法,Sutureless overlap法と時代に沿って実践してきた.Sutureless overlap法では,小腸断端から2cm,結腸断端から8cmに小孔を開け,60mmのリニアカートリッジで側側吻合を作成した後,挿入孔断端を挙上し60mmカートリッジで全層閉鎖する.挿入孔奥側のステープル断端と小腸壁をコントロールして60mmカートリッジに垂直となるよう調整することがSutureless overlap法の要点でありビデオ供覧する.
【結果】
73例の年齢中央値72歳,性別(M/F):32/41,BMI中央値22.9であった.病変の部位はV/C/A/T/D:1/23/29/15/5例,cStageはI/II/III/IV:41/13/13/6例であった.吻合の内訳はDelta 34例,Standard overlap法 8例,Sutureless overlap法30例で,吻合時間中央値は12/33.5/15分であり,Standard overlap法はその他2法より有意に長く(各P<0.001),Delta法とSutureless overlap法には有意差を認めなかった(P=0.2262).手術時間および出血量中央値はそれぞれ250/266/237分および10/15/0mlであった.Grade III以上の術後合併症は,イレウスがDelta法とSutureless overlap法に1例ずつ,腹腔内高度癒着を認めたSutureless overlap法に1例腹腔内膿瘍を認めた.予後に関して,12M-RFSがDelta 95.8%,Standard overlap,Sutureless overlapいずれも100%で,播種再発は認めなかった.
【結語】
Sutureless overlap法は手術時間を短縮可能で,腫瘍学的予後も許容可能な成績であった.今後も綿密なフォローアップを継続していく必要がある.
結腸癌に対する体腔内吻合においてOverlap法は,腸間膜対側で腸管に平行に広い吻合部を作成可能で,肥満症例でも困難ではない等のメリットが挙げられる一方,挿入孔閉鎖のために縫合操作を行う必要があるため煩雑で時間を要する.腫瘍学的観点からも,消化管の断端閉鎖を速やかに完了することは望ましい.Overlap法の課題を解決すべく,我々は縫合閉鎖を要さず自動縫合器のみで完結するSutureless overlap法を確立し実践している.本発表では手技の実際と治療成績を示す.
【方法】
当科にて体腔内吻合を2021年3月~2024年3月に実施した73例(他臨床試験登録症例は除外)を対象とした.当科では,Delta法,手縫いを伴うStandard overlap法,Sutureless overlap法と時代に沿って実践してきた.Sutureless overlap法では,小腸断端から2cm,結腸断端から8cmに小孔を開け,60mmのリニアカートリッジで側側吻合を作成した後,挿入孔断端を挙上し60mmカートリッジで全層閉鎖する.挿入孔奥側のステープル断端と小腸壁をコントロールして60mmカートリッジに垂直となるよう調整することがSutureless overlap法の要点でありビデオ供覧する.
【結果】
73例の年齢中央値72歳,性別(M/F):32/41,BMI中央値22.9であった.病変の部位はV/C/A/T/D:1/23/29/15/5例,cStageはI/II/III/IV:41/13/13/6例であった.吻合の内訳はDelta 34例,Standard overlap法 8例,Sutureless overlap法30例で,吻合時間中央値は12/33.5/15分であり,Standard overlap法はその他2法より有意に長く(各P<0.001),Delta法とSutureless overlap法には有意差を認めなかった(P=0.2262).手術時間および出血量中央値はそれぞれ250/266/237分および10/15/0mlであった.Grade III以上の術後合併症は,イレウスがDelta法とSutureless overlap法に1例ずつ,腹腔内高度癒着を認めたSutureless overlap法に1例腹腔内膿瘍を認めた.予後に関して,12M-RFSがDelta 95.8%,Standard overlap,Sutureless overlapいずれも100%で,播種再発は認めなかった.
【結語】
Sutureless overlap法は手術時間を短縮可能で,腫瘍学的予後も許容可能な成績であった.今後も綿密なフォローアップを継続していく必要がある.