講演情報
[P20-1-2]直腸癌手術における一時的小腸人工肛門と一時的横行結腸人工肛門の比較検討
辻村 直人, 鄭 充善, 野村 雅俊, 吉川 幸宏, 玉井 皓己, 森 総一郎, 西田 謙太郎, 瀧内 大輔, 浜川 卓也, 辻江 正徳, 赤丸 祐介 (独立行政法人労働者健康安全機構大阪ろうさい病院外科)
【はじめに】直腸癌手術の縫合不全のリスク軽減を目的に一時的人工肛門造設する.その際,回腸または結腸が選択されるが,それぞれ利点と欠点があり,どちらを選択すべきか一定の見解は得られていない.
【目的】当院での直腸癌手術における一時的人工肛門として造設した回腸人工肛門と横行結腸人工肛門について比較検討する.
【方法】2015年1月から2023年12月までに低位前方切除術及び括約筋間直腸切除術を施行した284例のうち,一時的人工肛門を造設した131例について,回腸人工肛門を造設したI群と横行結腸人工肛門したT群で後方視的に比較検討した.
【結果】131例中,I群は95例(72.5%)でT群は36例(27.5%)であった.患者背景では年齢,PNI,Hb,Creが2群間で有意な差を認めたものの,性別,BMI,PS,既往歴,T因子,N因子,M因子,術前化学療法は有意な差を認めなかった.術式,手術時間,リンパ節郭清の個数,側方郭清の有無,pStageも有意な差を認めなかったが,出血量はI群で有意に多かった(P<0.01).
術後合併症としてClavien-Dindo分類GradeIII以上のものが,I群で多かった(P<0.01).ストマ関連合併症は,I群で有意に多く(P=0.02),脱水,電解質異常,腎機能障害,止痢薬の使用もI群で有意に多かった.High output stoma(HOS)とOutlet obstruction(OO)においては,どちらもI群に多く(P<0.01),術後在院日数もT群の方が短かった(P=0.02).術後化学療法の開始までの期間はT群の方が短く(P=0.04),術後化学療法の完遂率もT群で高かった(P=0.04).ストマ閉鎖率は,I群で有意に多く(P<0.01),ストマ閉鎖までの期間の差はなかった.
【結語】T群では術後合併症やストマ関連合併症,HOSやOOがI群と比較して有意に少なかっただけでなく,術後在院日数や術後化学療法開始までの期間が短いことや術後化学療法の完遂率がI群よりも高いことがわかった.以上から直腸癌手術における一時的横行結腸人工肛門は有用である.
【目的】当院での直腸癌手術における一時的人工肛門として造設した回腸人工肛門と横行結腸人工肛門について比較検討する.
【方法】2015年1月から2023年12月までに低位前方切除術及び括約筋間直腸切除術を施行した284例のうち,一時的人工肛門を造設した131例について,回腸人工肛門を造設したI群と横行結腸人工肛門したT群で後方視的に比較検討した.
【結果】131例中,I群は95例(72.5%)でT群は36例(27.5%)であった.患者背景では年齢,PNI,Hb,Creが2群間で有意な差を認めたものの,性別,BMI,PS,既往歴,T因子,N因子,M因子,術前化学療法は有意な差を認めなかった.術式,手術時間,リンパ節郭清の個数,側方郭清の有無,pStageも有意な差を認めなかったが,出血量はI群で有意に多かった(P<0.01).
術後合併症としてClavien-Dindo分類GradeIII以上のものが,I群で多かった(P<0.01).ストマ関連合併症は,I群で有意に多く(P=0.02),脱水,電解質異常,腎機能障害,止痢薬の使用もI群で有意に多かった.High output stoma(HOS)とOutlet obstruction(OO)においては,どちらもI群に多く(P<0.01),術後在院日数もT群の方が短かった(P=0.02).術後化学療法の開始までの期間はT群の方が短く(P=0.04),術後化学療法の完遂率もT群で高かった(P=0.04).ストマ閉鎖率は,I群で有意に多く(P<0.01),ストマ閉鎖までの期間の差はなかった.
【結語】T群では術後合併症やストマ関連合併症,HOSやOOがI群と比較して有意に少なかっただけでなく,術後在院日数や術後化学療法開始までの期間が短いことや術後化学療法の完遂率がI群よりも高いことがわかった.以上から直腸癌手術における一時的横行結腸人工肛門は有用である.