講演情報

[R14-2]当院における超高齢者大腸癌の手術治療成績

佐々木 勉, 谷 明恵, 参島 祐介, 大嶺 孝仁, 佐藤 朝日, 谷 昌樹, 戸田 孝祐, 矢澤 武史, 大江 秀典, 山田 理大, 山中 健也 (滋賀県立総合病院外科)
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【目的】 当院の超高齢者大腸癌に対する手術治療の妥当性を評価する.【対象と方法】2011年9月から2022年12月までに手術を施行した90歳以上の大腸癌症例26例について,患者背景および治療成績を後ろ向きに解析した.【結果①:患者背景】 年齢92歳[90-94](以下中央値[範囲]),男性/女性=6/20例,観察期間719.5日[51-2824].ECOG PS 0/1/2/3=6/10/9/1例.癌の局在はC/A/T/D/S-RS/Ra-Rb/P=5/6/3/1/6/5/0例,組織型は分化型/未分化型=21/5例,pStage 0/I/II/III/IV=1/2/13/9/1例で,切除可能傍大動脈リンパ節転移のStageIV症例が含まれた.5症例に術前の腸管減圧処置を要し,SEMS留置が4例,経肛門イレウス管留置が1例に施行された.【結果②:治療成績】 麻酔は全麻/腰硬麻=25/1例.手術アプローチは,開腹/腹腔鏡/ロボット支援/経仙骨腹式=11/10/4/1例,手術時間224分[83-375],出血量15g[0-605].リンパ節郭清D0/1/2/3=1/3/5/17例,リンパ節検索個数は15個[0-38].術後合併症は,Clavien-Dindo分類IIIaの1例(3.8%)のみ認めた.術後在院日数は16日[11-45]で,手術アプローチ間に有意な差はみられなかった.術後再発を肝転移3例,傍大動脈リンパ節転移1例,腹膜播種1例の計5例に認めた.再発治療として1例に肝切除,他の4例はBSCで,再発後生存期間は475日[372-1160]であった.全症例の5年生存率/疾患特異的5年生存率はそれぞれ53.2/65.5%で,D0/1とD2/D3手術間に生存率の有意差はみられなかった.同期間に術後補助,再発,切除不能症例に化学療法は施行されておらず,一方放射線治療は1例,直腸癌術後局所再発に対する40Gyの照射(照射後生存期間312日)症例のみであった.【考察】R0切除が可能な大腸癌に対して,耐術可能と判断された超高齢者に安全な手術が施行されていた.D0/1郭清の4症例は,結果的に全てpN0であったため,D2/3郭清症例との間に生存率の有意差がみられなかったと考えた.再発症例のうち,肝切除の1症例は1160日の長期生存が得られており,再手術も症例を選べば予後の延長に寄与することが示唆された.【結語】当院の超高齢大腸癌患者に対する手術症例の短期・長期予後は許容できるもので,妥当であると思われた.