講演情報
[VWS3-6]メッシュを用いた鏡視下前方固定術LVR(Laparoscopic ventral rectopexy)を中心とした当院の直腸脱経腹的手術アプローチについて
岡本 亮, 松木 豪志, 一瀬 規子, 中島 隆善, 仲本 嘉彦, 栁 秀憲 (医療法人信和会明和病院)
はじめに:直腸脱患者は高齢者が多く,併存症や他臓器脱合併等個々の病態に応じた治療戦略が求められる.当院の診断・治療方針及び手術での留意点を報告する.
診断・評価:術前に耐術能検査と共に,脱出の程度と直腸固定性の評価として排便造影検査を,他臓器脱合併の評価として動的 MRIを行う.固定性不良で5cm以上と大きく脱出する症例では耐術能に問題なければLVRを主に行い,他臓器脱合併例では仙骨膣固定術LSC(sacrocolpopexy)も併施する.メッシュ使用に関し併存疾患・内服薬による制限は行っていないが,HbA1c8.0を超える糖尿病合併には事前血糖コントロール入院を基本とする.
手術手技:大腸手術と同じ5ポート.前方剥離は肛門挙筋露出まで行う.直腸へのメッシュ固定は前方固定と口側の重積様脱出予防で口側右側方へ2針追加と膣壁とメッシュの固定を1針行う.仙骨前面にメッシュを1針固定後,吸角で脱出テストを行い挙上不十分の場合にはメッシュ挙上を強め再度固定を行う.大きく脱出する場合には後方固定術(Well's手術)に変更,粘膜脱のみ場合には肛門縫縮術追加を検討.骨盤内手術歴のある,特にLSC併施する症例では子宮切離や膀胱周囲剥離の際に尿管損傷のリスクがあり,光る尿管ステントを留置し損傷予防とする.又他臓器損傷高リスクと判断した場合は婦人科と連携し速やかに経会陰手術へ変更する.
治療成績:2018年4月ー2023年3月に実施した直腸脱手術109例中73例で経腹的手術施行.25例で他臓器脱合併あり.年齢中央値は80歳.75歳以上の87.8%でFrailty疑い,60.8%で多剤服薬あり.経会陰手術例との比較では,年齢・BMIは同等も経会陰症例でより低栄養でFrailty率が高く,服薬数が多い傾向にあったが,認知症薬服用率は経腹手術例で多い傾向にあった.術後平均入院期間は4日間,合併症は転倒骨折1例,肺炎1例に認めたが,現在の所晩期含めメッシュ関連合併症は経験していない.再発は5例6.8%に認め,追加で経会陰手術を4例に,Well's手術での再手術を1例に行い以後再発は認めていない.
まとめ:直腸脱患者の患者背景は様々であり,術式選択・周術期管理を含め個々に応じた個別化戦略で,より安全な治療を目指し検討を重ねたい.
診断・評価:術前に耐術能検査と共に,脱出の程度と直腸固定性の評価として排便造影検査を,他臓器脱合併の評価として動的 MRIを行う.固定性不良で5cm以上と大きく脱出する症例では耐術能に問題なければLVRを主に行い,他臓器脱合併例では仙骨膣固定術LSC(sacrocolpopexy)も併施する.メッシュ使用に関し併存疾患・内服薬による制限は行っていないが,HbA1c8.0を超える糖尿病合併には事前血糖コントロール入院を基本とする.
手術手技:大腸手術と同じ5ポート.前方剥離は肛門挙筋露出まで行う.直腸へのメッシュ固定は前方固定と口側の重積様脱出予防で口側右側方へ2針追加と膣壁とメッシュの固定を1針行う.仙骨前面にメッシュを1針固定後,吸角で脱出テストを行い挙上不十分の場合にはメッシュ挙上を強め再度固定を行う.大きく脱出する場合には後方固定術(Well's手術)に変更,粘膜脱のみ場合には肛門縫縮術追加を検討.骨盤内手術歴のある,特にLSC併施する症例では子宮切離や膀胱周囲剥離の際に尿管損傷のリスクがあり,光る尿管ステントを留置し損傷予防とする.又他臓器損傷高リスクと判断した場合は婦人科と連携し速やかに経会陰手術へ変更する.
治療成績:2018年4月ー2023年3月に実施した直腸脱手術109例中73例で経腹的手術施行.25例で他臓器脱合併あり.年齢中央値は80歳.75歳以上の87.8%でFrailty疑い,60.8%で多剤服薬あり.経会陰手術例との比較では,年齢・BMIは同等も経会陰症例でより低栄養でFrailty率が高く,服薬数が多い傾向にあったが,認知症薬服用率は経腹手術例で多い傾向にあった.術後平均入院期間は4日間,合併症は転倒骨折1例,肺炎1例に認めたが,現在の所晩期含めメッシュ関連合併症は経験していない.再発は5例6.8%に認め,追加で経会陰手術を4例に,Well's手術での再手術を1例に行い以後再発は認めていない.
まとめ:直腸脱患者の患者背景は様々であり,術式選択・周術期管理を含め個々に応じた個別化戦略で,より安全な治療を目指し検討を重ねたい.