講演情報

[P18-2-3]閉塞性大腸癌に対する大腸ステント留置術の治療成績

筒井 敦子, 萩原 千恵, 坂本 純一, 里見 龍太郎, 長谷 泰聖, 原島 諒, 松村 光, 伊藤 望, 間中 敬介, 勅使河原 優, 贄 裕亮, 若林 大雅, 藤田 翔平, 岡本 信彦, 大村 健二, 若林 剛 (上尾中央総合病院外科)
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【背景】閉塞性大腸癌に対するBridge to surgery(BTS)としての大腸ステント留置は術前の食事摂取,退院を可能とするが,一方で穿孔,逸脱などの問題点もあり,長期予後についても一定の見解が得られていない.【目的】閉塞性大腸癌に対するBTS(大腸ステント留置と経肛門イレウス管留置)の短期,長期成績を比較し,大腸ステント留置の安全性,有用性を検討した.【対象】2013年1月から2020年12月に閉塞性大腸癌に対しBTSを施行した91例.大腸ステント留置群(以下,S群)53例,経肛門イレウス群(以下,I群)38例【結果】S群は右側/左側/直腸:25/26/2,I群は右側/左側/直腸:6/26/6,StageはS群II/III/IV:22/20/11,I群II/III/IV:14/16/8であった.S群は51例(96.2%)が減圧可能であり,39例(73.6%)が一時退院した.I群は33例(86.8%)が減圧可能であり,2例(5.7%)が一時退院した.留置後の合併症はS群でステント閉塞1例,逸脱2例,I群で減圧不良による穿孔が2例,イレウス管による穿孔1例,減圧不良による緊急手術が2例であった.S群44例(83%),I群16例(42.1%)に腹腔鏡手術を施行した(p=0.0001).S状結腸,直腸切除における人工肛門造設はS群で4/23例(17.3%),I群で17/26例(65.4%)に施行した(p=0.0005).手術時間,出血量は有意差を認めなった.術後在院日数はS群10(6-60)日,I群18(8-74)日で有意差を認めた(p=0.0001).Clavien-Dindo分類IIIa以上の合併症はS群で縫合不全1例,I群は縫合不全6例,腸閉塞2例,絞扼性腸閉塞1例の9例で,両群間に有意差を認めた(p=0.0007).StageII/III症例での3年生存率はS群87.9% vsI群77.7%で有意差は認めなかった(p=0.576).3年無再発生存率はS群72.9% vsI群63.3%で有意差は認めなった(p=0.447).【結語】大腸ステント留置は閉塞性大腸癌に対する有用な治療選択になりうると考えられた.