講演情報
[R9-5]ロボット支援下側方リンパ節郭清の手技と工夫
木下 敬史, 小森 康司, 佐藤 雄介, 大内 晶, 清水 泰博 (愛知県がんセンター消化器外科)
【背景】直腸癌における内視鏡手術支援ロボットは骨盤内でより精密な操作を可能とし,根治性や機能温存の向上が期待できる.側方リンパ節郭清(LLND)は,手術時間延長と出血量増加が有意で高難度とされ,少ない症例数と合わせ,術後合併症に差はないとされてはいるが広く行われてはいない.当科では2020年よりロボット支援下(RA-)LLNDを導入した.当科におけるRA-LLNDの工夫と手技,成績を報告する.【手術】原発巣はロボット支援下TMEを行う.ポート配置は通常と異なり,左側に挿入する1番ポートを臍のレベルとし,恥骨上にエアシールポートを助手用に挿入する.IMAの郭清の際は1番ポートを肋弓下としてアームの干渉を回避している.最も転移が多い#263D,#283は完全郭清のため,下膀胱・閉鎖動静脈を合併切除する.LD2領域の郭清後,大動脈分岐部よりCIA前面の脂肪織を郭清(#273),左右CIA・IIA間は仙骨前面を露出し#260,#270,#280の郭清を行う.【成績】47例(LAR:30,ISR:3,APR:14)に施行した.年齢は63歳(48-75歳),男28:女19.手術時間/出血量は514分(375-799)/75ml(少量-1480).1例で開腹手術に移行した.開腹と比べ手術時間は延長したが出血量は大きく減少した.CD Grade 3以上の合併症は8例(17.0%)縫合不全3例,骨盤内感染が2例,イレウスが2例であったが,手術関連死亡は1例もない.LLN郭清個数は22個(10-42個)で5例にLLN転移を認めた.開腹,ラパロと比較し差はなく,現在までに骨盤内再発は1例のみである.【結語】RA-LLNDは開腹手術と比較し手術時間の延長はあるものの出血量は大きく減少し,有用であった.当科の手術手技とその工夫を供覧する.