講演情報

[SR3-1]ロボット支援下手術が直腸癌患者のCircumferential resection margin陽性率低下に与える影響についての検討

石塚 満, 渋谷 紀介, 蜂谷 裕之, 西 雄介, 河野 貴博, 高柳 雅, 根本 鉄太郎, 井原 啓佑, 中村 隆俊, 水島 恒和 (獨協医科大学下部消化管外科)
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【背景】ロボット手術が腹腔鏡手術に対する加点を得るために必要な根拠の一つに断端陽性率の低下があげられている.
【目的】ロボット支援下手術が直腸癌患者のCircumferential resection margin(CRM)陽性率の低下に与える影響について,既存の腹腔鏡下手術との比較を行うこと.
【対象,方法】複数の英文医学データベースを使用し,robotic, laparoscopic, rectal cancer等の関連ワードで検索をかけて得られた(2024年3月まで)540文献(The Cochrane Library:141, Web of Science:194, PubMed:205)の中から,重複例を除いた350文献中から題名と抄録を参照し,今回設定したPICO(Patients:手術が施行された直腸癌患者 Intervention:ロボット支援下手術 Control:既存の腹腔鏡下手術Outcome:CRM陽性率)に合致した6論文を抽出した.これらの論文はすべてselection biasを除きエビデンスレベルを高めるため,2群間の背景因子が揃えられたRandomized controlled trial(RCT)のみとした.これらの論文を用いてメタ解析の手法を用いてデータの統合・解析を行った.
【結果】既存の腹腔鏡手術と比較したロボット支援下手術のCRM陽性率はロボット支援下手術群で4.5%(52/1168),既存の腹腔鏡手術群で7.4%(85/1149)であった.これらを統合したメタ解析の結果はRisk ratio(RR)0.61;95% confidence interval(CI)0.44 - 0.86,P=0.004,I2=0%となり,ロボット支援下手術では,既存の腹腔鏡手術に比べて統計学的に有意にCRM陽性率を39%改善する効果を認めた.
【結語】直腸癌患者に対するロボット支援下手術は,既存の腹腔鏡手術に比べCRM陽性率を有意に改善し,この点において既存の腹腔鏡手術を超えた.