講演情報

[PD2-1]大腸内視鏡診断(JNET分類)支援リアルタイムAI装置の開発

森元 晋1, 吉田 成人2, 呉 泳飛3, 小出 哲士3, 玉木 徹4, 才野 正新1, 濱田 拓郎1, 竹原 悠大1, 谷野 文昭1, 山本 紀子1, 上垣内 由季1, 西村 朋之1, 田中 秀典1, 山下 賢1, 桑井 寿雄5, 岡 志郎1 (1.広島大学病院消化器内科, 2.呉医療センター・中国がんセンター内視鏡内科, 3.広島大学半導体産業技術研究所, 4.名古屋工業大学工学研究科情報工学専攻, 5.広島大学病院消化器内視鏡医学講座)
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【背景と目的】大腸NBI拡大診断のためのJNET(The Japan NBI Expert Team)分類の臨床的有用性が報告されているが,術者間での診断の相違など,その標準化が課題である.我々はNBI拡大診断の均てん化を目的にJNET分類診断支援リアルタイムAI装置の開発中であり,試用中の診断法について,実臨床におけるリアルタイム診断能を評価した.
 【対象と方法】2023年6月~12月に当院でリアルタイムAI装置を使用した連続症例42症例78病変(JNET Type 1 15病変,Type 2A 54病変,Type 2B 7病変,Type 3 2病変)を対象とした.検討1では消化管内視鏡専門医の診断に対するリアルタイムAI装置のJNET分類診断一致率を,実臨床で撮影した動画を用いて検証した.検討2,3,4では,検討1と同様の症例について,検討2ではNBI診断時の拡大率で弱~中拡大,強拡大の2群に,検討3では,病変径で径5mm以下,径6-9mm,径10mm以上の3群に,検討4では肉眼型で表面型と隆起型の2群にそれぞれ分け,リアルタイムAI装置の診断能を評価した.
 【結果】検討1で,実臨床における消化管内視鏡専門医とリアルタイムAI装置の診断一致率は,Type 1 93%,Type 2A 96%,Type 2B 71%,Type 3 67%,全体92%で,Kappa値0.84であった.検討2では,弱~中拡大,強拡大での診断一致率は,それぞれ91%,93%であった.検討3では,径5mm以下,径6-9mm,径10mm以上の病変について,診断一致率はそれぞれ92%,100%,88%であった.方法4では表面型,隆起型の病変について,診断一致率はそれぞれ93%,92%であった.検討2,3,4いずれも各群で有意差は認めなかった.
 【結論】我々が現在リアルタイムAI装置で試用している手法は,実臨床でも消化管内視鏡専門医と良好な一致率が得られ,その診断能は拡大率や病変径,肉眼型の影響を受けなかった.今後,さらなる症例の蓄積,検証を行なっていく予定である.