講演情報

[VPD5-7]括約筋形成および二期的手術による低位筋間痔瘻手術

石山 元太郎, 秋月 恵美, 小山 良太, 及能 拓朗, 佐藤 綾, 西尾 昭彦, 石山 勇司 (札幌いしやま病院)
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低位筋間痔瘻手術は開放式瘻管切除術と括約筋温存術式に大きく二分される.開放術式は根治性が高い反面,術後の括約筋の機能低下や肛門変形をきたしやすい.これに対し括約筋温存術式は機能低下を防ぐことが可能だが,治癒率の向上が現時点での問題点である.これを踏まえ当院では,括約筋固定・組織充填法と二期的手術を組み合わせた方法で低位筋間痔瘻手術を行っている.組織充填法とは,痔瘻管を二次口側より1次瘻管の手前まで切除し,1次瘻管は痔瘻後壁を残した形でlay openする.その後,離開した括約筋を寄せてきて瘻管後壁および内括約筋に縫合固定する.この際,痔瘻を完全に切除できた症例に限り,周囲脂肪組織を皮下より剥離して欠損部に充填する方法である.この方法により術後の肛門変形を可及的に回避することが可能である.次に二期的手術であるが,初回手術で1次瘻管を除く痔瘻組織を2次口側から切除し,1次瘻管を残したまま同部位にゴムドレーンを留置しておく.術後1~2か月経過すると痔瘻切除創が治癒するので,この時点で1次瘻管をlay openする方法である.この際も,できるだけ切開した括約筋を瘻管後壁に固定するようにする.初回手術創が瘢痕組織で固く被覆されているため,この時点でlay openすることにより括約筋の離開や肛門変形を予防できる.
 当院ではこれらの術式を痔瘻の部位や形態に応じて使い分けするようにしている.後方痔瘻や単純な形態の痔瘻では括約筋固定・組織充填法を1期的に行う場合が多いが,前側方痔瘻や複雑な形態をした痔瘻,高位筋間痔瘻を有する痔瘻,多発痔瘻では二期的手術とすることが多い.今回,痔瘻の形態に応じた,これらの術式の詳細な方法について動画を中心に報告する.