講演情報
[PD6-2]内科的治療抵抗性潰瘍性大腸炎に対する外科治療のタイミング
井原 啓佑1, 中村 隆俊1, 髙柳 雅1, 河野 貴博1, 西 雄介1, 金澤 美真理2, 根本 鉄太郎1, 渋谷 紀介1, 蜂谷 裕之1, 菅谷 武史2, 富永 圭一2, 石塚 満1, 水島 恒和1 (1.獨協医科大学下部消化管外科, 2.獨協医科大学消化器内科)
【緒言】潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)は内科的治療が進歩した現状においても,潰瘍性大腸炎への外科的治療が必要な症例は多い.内科的治療に抵抗を示した症例が重症化し,緊急手術に至ることをたびたび経験する.また,高齢になって初めて発症する患者数も増加傾向にある.高齢発症のUCは若年 UC患者と比べて重症または劇症で緊急手術となる頻度が高い.これらの臨床的特徴を考慮し,内科と連携して適正なタイミングで手術治療に導くことが重要である.
【目的】内科的治療への抵抗を示したUCへの当院の手術治療成績について解析し,至適な手術方法,手術時期を明らかにする.
【方法】症例は2006年4月から2023年11月までの間に潰瘍性大腸炎に対して手術治療が行われた症例のうち,内科的治療への抵抗を示した58例を対象とした.年齢,性別,罹患期間や内科治療内容,手術時間,出血量,術式(吻合法,分割形式),術後合併症について検討した.上記項目に関して①緊急手術症例と待機手術症例の比較②高齢UC(60歳以上)と若年UC(60歳未満)の比較を行った.
【結果】緊急・準緊急手術が33例(56.9%),待機手術が22例(43.1%)に行われた.Clavein-Dindo分類IIIa以上の合併症は13例(22.4%)に認めた.緊急・準緊急手術症例と待機手術症例の比較を行った.緊急手術症例では罹患期間が短く(p=0.04),手術方法としては初回手術に結腸全摘術が多く選択されていた(p=0.03).両群で術後合併症の発生率,重症度に相違のない結果となった.次に高齢UC(60歳以上)と若年UC(60歳未満)で比較検討を行った.術前の内科治療(ステロイド,免疫抑制剤,生物学的製剤)について両者での統計学的な差は認めなかった.高齢UCでは術前の小野寺式prognostic index score(OPNI)が低い(p=0.04)が,術後合併症発生率.重症度に関しては統計学的な差は認めなかった.
【結論】緊急手術症例と待機手術症例の間で術後合併症の発生,重症度に差を認めなかった.また高齢UCと若年UCの比較においても術後合併症について差がなく,周術期死亡も存在しなかった.比較的安全かつ適切なタイミングでの手術の施行や,術式の選択が行われているものと思われた.
【目的】内科的治療への抵抗を示したUCへの当院の手術治療成績について解析し,至適な手術方法,手術時期を明らかにする.
【方法】症例は2006年4月から2023年11月までの間に潰瘍性大腸炎に対して手術治療が行われた症例のうち,内科的治療への抵抗を示した58例を対象とした.年齢,性別,罹患期間や内科治療内容,手術時間,出血量,術式(吻合法,分割形式),術後合併症について検討した.上記項目に関して①緊急手術症例と待機手術症例の比較②高齢UC(60歳以上)と若年UC(60歳未満)の比較を行った.
【結果】緊急・準緊急手術が33例(56.9%),待機手術が22例(43.1%)に行われた.Clavein-Dindo分類IIIa以上の合併症は13例(22.4%)に認めた.緊急・準緊急手術症例と待機手術症例の比較を行った.緊急手術症例では罹患期間が短く(p=0.04),手術方法としては初回手術に結腸全摘術が多く選択されていた(p=0.03).両群で術後合併症の発生率,重症度に相違のない結果となった.次に高齢UC(60歳以上)と若年UC(60歳未満)で比較検討を行った.術前の内科治療(ステロイド,免疫抑制剤,生物学的製剤)について両者での統計学的な差は認めなかった.高齢UCでは術前の小野寺式prognostic index score(OPNI)が低い(p=0.04)が,術後合併症発生率.重症度に関しては統計学的な差は認めなかった.
【結論】緊急手術症例と待機手術症例の間で術後合併症の発生,重症度に差を認めなかった.また高齢UCと若年UCの比較においても術後合併症について差がなく,周術期死亡も存在しなかった.比較的安全かつ適切なタイミングでの手術の施行や,術式の選択が行われているものと思われた.