講演情報

[O11-4]肥満患者に対するロボット支援下直腸癌手術の安全性の検討

木村 聡元, 村松 里沙, 藤野 紘貴, 佐藤 慧, 川岸 涼子, 千葉 丈宏, 米澤 仁志, 木村 仁, 舩渡 治, 小林 慎, 高金 明典 (函館五稜郭病院外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【背景】ロボット支援下直腸切除術は良好な3D視野と多関節機能を用いた剥離操作により,安全性,根治性,機能性の向上が期待されており,間膜処理長や間膜容積により操作に難渋することが多い肥満症例に対してもその有用性が期待される.今回,ロボット支援下直腸手術において肥満症例と非肥満症例を比較し,肥満症例に対する安全性を検討したので報告する.
【方法】2021年6月から2024年4月までに当院で施行したロボット支援下直腸癌手術125例を肥満症例(BMI≧25kg/m2:43例;A群),非肥満症例(BMI<25kg/m2:82例;B群)の2郡に分け,両群間の短期成績を後方視的に解析し,肥満症例に対するロボット手術の安全性を検討した.
【結果】年齢はA群:B群=67:71,性別はA群で男:女=21:22,B群で男:女=45:37,ASAはA群:B群=2:2と両群間で有意差はなかった.主原発部位はA群でRs:Ra:Rb=9:8:26,B群でRs:Ra:Rb=16:21:45,総手術時間はA群:B群=338分:306分,出血量はA群:B群=15ml:10mlであった.両群ともに開腹移行例は認めなかった.術後の排ガスまでの日数はA群:B群=2日:1日,経口摂取開始まではA群:B群=3日:3日,術後在院日数はA群:B群=12日:12日と有意差はなかった(すべて中央値).CD≧G2の術後合併症はA群:B群=37.2%:30.4%で有意差はなかったが,CD3bの合併症をA群で1例(膣ろう),B群で4例(縫合不全2例,術後出血1例,絞扼性イレウス1例)認めた.
【結語】A群において手術時間は長く出血量も多い結果であったが,術後在院日数,術後合併症では両群間で差はなく,肥満症例に対するロボット支援下直腸切除術は安全に施行可能と考えられた.