講演情報

[P18-1-4]pSEであった腫瘍径15mm 0-IIa+IIc型進行大腸癌の1例

石井 健一, 樫山 基矢, 河島 秀昭 (勤医協中央病院)
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症例は73歳男性.入院2ヶ月前に血便を自覚し前医から当院へ紹介され,大腸内視鏡検査で盲腸に径15mmの0-IIa+IIc病変を認めた.血液検査所見では腫瘍マーカー CEA 1.9 ng/ml,CA19-9 11.0 U/mlと正常範囲内であり,軽度の貧血 Hb 11.5 g/dlを認めたがその他は概ね正常範囲内だった.CT検査所見では盲腸病変は同定されず,遠隔転移やリンパ節転移を疑う明らかな所見を認めなかった.大腸内視鏡検査所見では白色光観察でヒダの集中,粘膜下腫瘍様の立ち上がりを認め,病変周囲正常粘膜の進展性は不良だった.NBI(narrow band imaging)観察では陥凹部はJNET Type 3であった.心筋梗塞に対して冠動脈ステント留置術後であり,検査時に抗血小板剤を2剤内服していたため術前に生検を施行していなかった.注腸消化管造影検査では盲腸のハウストラ上に径15mmの隆起性陰影を認め,壁は孤状に変形していた.以上から盲腸癌,T2N0M0,cSatge Iの診断で腹腔鏡下回盲部切除D3郭清を施行した.術後経過は概ね良好で術後10日目に退院した.肉眼所見は盲腸に径15×12mmの0-IIa+IIc病変を認め,漿膜面は白色調であった.組織学的には中分化管状腺癌が主体で,小充実胞巣状や弧在性に浸潤する低分化腺癌の成分も認め,白色調の漿膜面は線維成分の多い低分化腺癌が占めていた.癌細胞が漿膜表面に接する像も認め,深達度はSE(T4a)と診断した.0-IIa部分には腺腫成分を認め,腺腫から腺癌への移行が観察できた.リンパ節転移は認めず,術後の病理所見はtub2>por2,pT4a,INFb,Ly1a(D2-40),V1a(EMS),budding grade 2,pN0,Pn1a,pPM0,pDM0,pRM0,Stage IIbと診断した.現在術後補助化学療法を施行中であり,明らかな再発・転移は認めていない.腫瘍径20mm以下の進行大腸癌の発生頻度は全進行大腸癌症例の0.8~5.3%と比較的稀であり,今回pSEであった腫瘍径15mm 0-IIa+IIc型進行大腸癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.