講演情報
[O20-5]当科における横行結腸癌に対する腹腔鏡手術手技と工夫
清水 浩紀, 栗生 宜明, 有田 智洋, 名西 健二, 木内 純, 大辻 英吾 (京都府立医科大学消化器外科)
【はじめに】横行結腸癌に対する腹腔鏡下手術が高難度とされるのは,限られた症例数,膵臓の存在,複雑な血管走行,腫瘍部位による授動や郭清範囲の判断が必要,といった複数の要素があるためである.今回,根治性ならびに安全性に留意した郭清手技を中心とした我々の腹腔鏡下手術手技について報告する.
【手技】基本コンセプトとして,尾側アプローチによる#222-223リンパ節郭清の前に頭側アプローチ先行を採用している.頭側アプローチ先行の利点は,1,膵下縁を同定し横行結腸間膜との癒合を膜1枚切開,さらに膵下縁でSMVを確認して郭清組織と膵臓を分離しておくことで郭清の頭側ゴール地点が明らかになり,尾側アプローチ前に“受け”を作ることでより確実なD3郭清に寄与すると考える.2,多様な分岐パターンを持つ静脈系,特にGCTならびにMCV,の走行を手術前半に確認できる.症例により先に静脈処理することで出血予防にもつながる.左側横行結腸癌の副中結腸動脈が存在する症例では,膵下縁で切離しその郭清範囲としている.
【工夫】1,症例により体腔内吻合を行っているが,遊離癌細胞の散布リスク回避のため十分なマージン確保に留意し,腹壁瘢痕ヘルニアのリスク低減を主目的として下腹部横切開を導入している.2,進行癌症例に対しては将来の肝切除可能性などを考慮し,創直下だけでなく肝臓周囲を主として癒着防止を図っている.特殊な器具なしで簡便に癒着防止フィルムを12mmポートより挿入し腹腔内で貼付する方法を考案し実施している.
【結語】当科の横行結腸癌に対する腹腔鏡手術手技と工夫を報告した.
【手技】基本コンセプトとして,尾側アプローチによる#222-223リンパ節郭清の前に頭側アプローチ先行を採用している.頭側アプローチ先行の利点は,1,膵下縁を同定し横行結腸間膜との癒合を膜1枚切開,さらに膵下縁でSMVを確認して郭清組織と膵臓を分離しておくことで郭清の頭側ゴール地点が明らかになり,尾側アプローチ前に“受け”を作ることでより確実なD3郭清に寄与すると考える.2,多様な分岐パターンを持つ静脈系,特にGCTならびにMCV,の走行を手術前半に確認できる.症例により先に静脈処理することで出血予防にもつながる.左側横行結腸癌の副中結腸動脈が存在する症例では,膵下縁で切離しその郭清範囲としている.
【工夫】1,症例により体腔内吻合を行っているが,遊離癌細胞の散布リスク回避のため十分なマージン確保に留意し,腹壁瘢痕ヘルニアのリスク低減を主目的として下腹部横切開を導入している.2,進行癌症例に対しては将来の肝切除可能性などを考慮し,創直下だけでなく肝臓周囲を主として癒着防止を図っている.特殊な器具なしで簡便に癒着防止フィルムを12mmポートより挿入し腹腔内で貼付する方法を考案し実施している.
【結語】当科の横行結腸癌に対する腹腔鏡手術手技と工夫を報告した.